• 8月 11, 2025
  • 8月 12, 2025

食事?運動?具体的になにをする?医師が実践・推奨する理想的な生活習慣(運動編)。

生活習慣、何から始めればいいの?

「生活習慣に気をつけましょう」

口で言うのは簡単ですが、具体的に何をどうすればよいのか?と問われると、曖昧でないでしょうか。誰でも1つや2つは「こうしたほうがいいらしい」というのは知っていても網羅的に説明できる人は少ないでしょう。

それもそのはず。
現代はwebやSNSを始め、情報が溢れかえっており、相反する情報が存在するのも事実です。その中から科学的にある程度確からしいもの、自分にあったもの、を検証するのは、日々の忙しい生活の中ではなかなか難しいのではないでしょうか。

今回のブログでは、私が外来指導のために学んだり興味本位で調べてきたものをまとめています。
科学は日進月歩ですから、今後新たな研究によってこちらの内容が否定されたり、更に効果の高い方法がでてくることも予想されます。こちらの内容は定期的に見直しアップデートしていますので、

「生活習慣を改めたい」

「改めるよう言われたけれど、何をすればいいのかわからない」

という方におすすめです。

生活習慣は3つの領域で考える

  • 食事
  • 運動
  • 睡眠

ズバリこの3つを整えることが目的です。

「たったそれだけ?」
「そんなことわかっている!」

そう思われれるのも仕方のないことです。しかし、しっかりと実践できていますか?と問われれば、自身を持ってYesと答えられる人は少ないのではないでしょうか。

できない理由として、現代人は忙しすぎるのだと思います。
仕事や家庭、身支度や生活のための買い物などしていると、1日の中で十分な運動や余暇に当てられる時間(可処分時間)は少ないのは事実です。

その可処分時間ですらスマホやテレビなどに消費されてしまいがちです。
気がつけば深夜、気づけば翌朝・・・なんて毎日を送っているのは、あなただけではないはずです。

今回はこの中から

具体的な運動方法

について取り上げます。

生活習慣改善のために、最も優先すべきこと

生活習慣の改善に取り組むにあたって、重要なことについてお話をしなければなりません。

「運動をしてください」

というお話をすると、決まってみなさんは

「忙しい」
「時間がない」

といったリアクションをされます。実際、その通りなのだと思います。
しかしそれは、

「1日のルーティンをやったら、運動にあてる時間はない」

ということではないでしょうか?そこでまずやって頂きたいのが

「あいた時間で運動をする」

のではなく

「運動をいつやるか、決めてしまう」

これにつきます。
具体的にいつ運動を取り入れるかは生活リズム次第ですが、朝早く起きられる方は起床後すぐに運動を始めるのがよいでしょう。出勤前に運動ができれば理想的ですが、休日の朝などもおすすめです(私はこのタイプです)。

朝はとても起きられない、家族の準備があり時間がとれない。
そんな方は日中や夜に運動を行うことをおすすめします。
夜間は交通事故や転倒、異常者に襲われないか心配、という方はジムに入会してしまうことをおすすめします。
会費を払ってしまえば「お金を払っているのだから」と定期的に通うモチベーションにもなります。

私は、以前は夜間にランニングをしていましたが、真っ暗で足元がみえないのと、天候や季節によっては行かない言い訳になってしまいがちなので、ジムへ入会しました。
それからは季節や天候を問わず快適に運動が続けられているので、それだけの価値はあると感じています。動画などを見ながらランニングマシンが使用できる、「ながら運動」ができるのもメリットです(良し悪しはありますが・・・)。

それでも、

「1日でやらないといけないことをやったら、運動に割ける時間なんてない!」

という方もいらっしゃると思います。
本当に、仕事やご家族のために献身的に頑張られているのですね・・・おつかれさまです。

しかし、そんな献身的なあなたが健康を損ねたり、倒れてしまったらご家族はもちろん、多くの方が心配したり、お困りになるのではないでしょうか。

はっきりいいます。

一番大事なのは、あなた自身です。
そして、あなたのケアをできるのは、あなたしかいません。

御自分を他人だと思って、一歩離れたところから眺めてみてください。
本当に大変そうですよね。
こんなに頑張っているあなたを、誰かがケアしてあげなければいけません。

御自分を「大切な誰か」だと思って最優先でケアしてあげてください。

生活改善のための時間を確保するために「No」という勇気を持ちましょう。
あなたが元気でいるために、断らなければならないことがあることを受け入れましょう。

時間確保のために家族などの理解をもとめましょう。
多くの場合、理解を示してくれるはずです。

生活習慣を整えるために、「人生における優先順位の見直し」を、まず行ってください。

当院の行動指針の1つである「最優先事項を優先する」を皆さんにも実践していただきたいと願っています。

当院が推奨する運動療法

運動療法を大きく分けると、次の2つになります。

  • 筋肉トレーニング
  • 有酸素運動

運動療法の目的ですが、理想的な体型を手に入れる・・・わけではありません。

筋肉をつけて「太りにくいからだを作る」ことが目的です。

また、筋肉量が多いほうが(特に大腿四頭筋)心疾患などが、減少することが研究報告されています。高齢となると、「サルコペニア」という疾患概念があり、「筋肉欠乏」によって様々な支障がでてきます。

人間はじっとしていても臓器を働かせたり、体の活動を維持するための熱を産生する「基礎代謝」が行われています。筋肉は基礎代謝で消費するカロリーが大きく、

「何もしていないのにカロリーを消費する」

組織です。言い方を変えれば「無駄が多い、穀潰し」とも言えますが、これを逆に利用することで、太りにくい・痩せやすい体を手に入れることができます。

忙しい毎日に運動を取り入れるのであれば、

「筋トレと有酸素運動のいずれも並行して行ってしまいたい」

そう思うのはあなただけではありません。
その場合、1つ注意が必要で

有酸素運動 → 筋トレ

ではなく

筋トレ → 有酸素運動

の順で行うことが重要です。

有酸素運動を行って体がくたびれている状態で筋トレを行っても、その効果は6割程度に落ちてしまうことが研究報告されています。せっかくの筋トレに投じた時間と労力を有効活用するのであれば、その効果を最大限に活かしたいですよね。

ですので、筋トレと有酸素運動を並行する場合は、まず筋トレから行うようにしましょう。

筋肉トレーニングでおすすめのメニューは?

筋トレのメニューですが、

「大きな筋肉を鍛える」

事が重要です。ボディビルダーを目指すわけではなく、効率よく筋肉重量を増やしたいわけですから、腕のような細い筋肉ではなく、胸や背中・下肢といった大きな筋肉を優先的に鍛えていきましょう。

おすすめのメニューですが(*リンクをクリックするとyoutube動画と音楽が流れます)、

最低週1回、可能なら週2回程度の筋トレを推奨します。
詳細な方法についてはyoutubeなどでトレーナーが実演している動画が多数ありますので、
そちらを参照するとイメージが掴みやすいです。

筋肉量は

重量 × 回数 × セット数

この1週間の総量で決まります。

軽い重量でも回数・セット数を稼げば、重い重量でやった場合と差はありませんが、限られた時間の中で効率よく筋肉をつけるのであれば、ある程度の重量でやったほうがいいでしょう。

概ね、10-15回位で「きつい!」となる程度の重量が望ましいとされています。
休憩は60-90秒程度挟んで3セットやりきれる重量にしましょう。

自宅では自重やペットボトルやダンベルを用いて工夫することもできますが、筋肉がない場合は自重で実践できないメニューもあります。その場合はジムの利用をおすすめします。

ウエイトマシンを利用するれば、負荷が選べるため、筋肉のない方が筋トレを始めるのに向いています。筋肉がある程度ついてくると、自重でも不足となったり、ある程度の負荷を得るのに時間がかかるようになるため、やはりジムでウエイトを上げて運動できる環境が望ましいと言えます。

ウエイトマシンを使った運動の注意点として、使用方法を守ることはもちろんですが、急に張り切って筋トレを始めると腱や関節を痛めることがあります。まずは軽い重量で動きに無理がないか確認して徐々にウエイトを上げていきましょう。

有酸素運動は何をどれくらいやればいい?

急にジョギングを始める必要はありません。
運動強度としては「速歩き」が推奨されています(運動強度の指標で4METs相当)。

背中を丸めて小幅で「とぼとぼ」と歩くのではなく、胸を張って大股で「スタスタ」と歩きましょう。最後までしっかりと地面を踏み切って一歩を大きくすることが大切です。

気候の良い季節はいいのですが、真夏や真冬・荒天時は注意が必要です。また、上述の通り夜間は怪我や事件に巻き込まれる可能性もあるため、運動を行う時間や場所にはくれぐれも注意をしてください。

この観点からも、やはりジムやウォーキングマシーンの利用はおすすめです。

運動強度の目安ですが、心拍数を参考にします。

喉仏の真ん中から左右どちらかに指3本ほどのところに頸動脈を触れることができます。
また、手首内側の親指側または小指側にも指を添えると橈骨動脈や尺骨動脈を触れることができます(個人差があります)。時計をみながら15秒に何回拍動したかを数えることで、それを4倍すると1分間の心拍数を計算することができます。

ジムのマシーンには握るだけで心拍数を表示してくれるものが一般的ですし、スマートウォッチなどは着用していれば心拍数を簡単に知ることができます。

目標とする運動強度ですが、

(220 ー 年齢)× 0.8

が1つの目安となります。例えば、40歳なら

(220 ー 40)× 0.8 = 144回/分

が、有酸素運動を行っている最中の心拍数の目安です。

これより遅いようであればスピードが遅い・歩幅が狭いといえますし、
これより速いようであれば、運動強度をもう少し下げたほうがよいでしょう。
あまり張り切って運動が辛くなっても続かないので、ほどほどが大事です。

継続時間については筋トレと並行する場合は45分以内が1つの目安となります。

これは、有酸素運動を頑張りすぎてしまうと筋肉の合成が妨げられることが報告されているためです。

有酸素運動だけであればもっと続けても構いませんが、目安として

  • 週150分
  • 1日最低6000歩、できれば10000歩

が挙げられます。
これは生活習慣病の予防にも治療にも提唱されている目安です。

また、うつ病の予防や治療にも運動は有効(抗うつ薬と同等の効果)であることがわかっています。

運動は最初はキツイと感じるかもしれませんが、終わってみると清々しさを感じると思います。
これは、人の脳が運動時の苦痛を打ち消すために脳内でエンドルフィンなどの脳内麻薬を産生するためと考えられています。いわゆる「ランナーズハイ」もこのためと考えられています。

習慣化してしまえば、

「運動にいかないとスッキリしない」

というようになってきます。
こうなればしめたもので、お金に代えられない健康的な生活習慣を手に入れたも同然です。

まとめ

今回は具体的な運動療法についてまとめました。

運動療法のコツはなんといっても「習慣化」です。

数日頑張っても、つらくなってやらなくなってしまったり、天候を理由にできなくなってしまっては効果があがりません。
まずは「習慣化」することを目標に決まった時間や曜日に大きな負担なくこなせるメニューを続けるところから始めてみましょう。

ご家族や友人など、運動仲間を作ることも習慣やモチベーションを維持するためのコツです。一人でも続けられるのが理想ですが、誘い合って始めてみるのもいいですね。


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