• 4月 3, 2024

嘔吐・下痢(胃腸炎)

嘔吐、嘔吐+下痢があります。原因は何でしょうか?

原因は多岐にわたりますが、その多くがウイルス性胃腸炎です。特にお子様が胃腸炎にかかった時、その看護でご家族も心配と不安でいっぱいではないでしょうか。今回は、大切なご家族がウイルス性胃腸炎にかかってしまった際に、どのように対処すればよいかについて解説します。

ウイルス性胃腸炎とは?

お子様が急におう吐や下痢を始めたら、ウイルス性胃腸炎かもしれません。この病気は、ノロウイルスやロタウイルスなどの様々なウイルスが原因で、特に小さなお子様によく見られます。風邪がのどや鼻のウイルス感染症であるのに対し、感染部位が胃腸であることから「おなかの風邪」と表現することもあります。厳密には胃は問題ないことが多く、腸の炎症=腸炎であり、特に小腸への感染で激しい水下痢が引き起こされます。感染力が強く、他の子どもたちとの接触や、汚染されたものを触った後に手を洗わずに食べ物を口にすることで、ウイルスが体内に取り込まれ感染が拡大していきます。

脱水の程度、水分補給の仕方

ウイルス性胃腸炎にかかると、嘔吐や下痢によって体内の水分が急速に失われます。お子様の場合、普段の体重から3%以上減ると注意が必要です(20kgなら19.4kg以下)。ここで最も重要なのは、脱水を防ぐために適切に水分を補給することです。ただし小さなお子様が水分を欲しがるからといって、一度にたくさんの水分を飲ませると、おう吐の原因になってしまうことがあります。

  • 少量・頻回での水分補給:お子様には、少量ずつでも頻繁に水分を与えましょう。例えば、5分おきにスプーン1杯分や、ストローで一口分を与える方法があります。
  • 適切な飲み物の選択:ジュースやスポーツ飲料は糖分が多く含まれており、おう吐や下痢を悪化させることがあります。そのため、OS-1などの経口補水液(ORS)を選ぶか、ジュースなど市販の糖類を含むものは水で薄めて与えるようにしましょう。

消毒方法について

お子様や家族の健康を守るためには、正しい消毒方法を知っておくことも大切です。特にノロウイルスはアルコールでは消毒できないため、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)の消毒液を使用してください。ウイルスを含んだ飛沫から感染することや、ウイルスが付着した手や清掃用具で不用意に鼻や口、ドアノブなどの屋内を触ってしまうことで家庭内での感染拡大につながります。そのため、吐いたものや下痢を片付けるときはマスクや手袋、使い捨てのビニールエプロンなどを使用するとよいでしょう。これらは使いまわさずに、その都度ビニール袋などに包んで廃棄することが大切です。

ノロウイルス検査について

ノロウイルスは便を用いて迅速検査が可能です。ただし、3歳未満のお子様や65歳以上の方でないと、保険適用外となります。ノロウイルスかそうでないかで治療方針は変わりないため、積極的な検査はおすすめしていません。

嘔吐=胃腸炎と考えてよいでしょうか?

嘔吐は様々な疾患の症状として現れることがあり、嘔吐=胃腸炎とは言えません。特に下痢を認めない場合に安易に胃腸炎と診断してしまうことは慎まなければならないことが医師の間では教訓となっています。とくにお子様の場合、ストレスなどでも嘔吐することがありますが、虫垂炎などの感染症や尿路感染症、肺炎・髄膜炎や敗血症、その他さまざまな疾患の一側面として嘔吐が出現していることがあります。発症初期に正しく診断することは困難なことも多く、診断までに数回の受診や日数を要してしまこともあります。水分がとれない、様子がおかしいという場合は、繰り返し相談することをおすすめします。

まとめ

お子様がウイルス性胃腸炎に罹患した際の不安や心配は計り知れないものがありますが、正しい知識と対処法を身につけることで、お子様の苦痛を少しでも和らげ、早期回復へと導くことができます。ご家族の健康を守るためにも、手洗いの徹底、適切な水分補給、正しい消毒方法の実践を心がけましょう。

お子様の症状に不安がある場合や、改善が見られない場合は、遠慮なく医療機関に相談してください。あなたとお子様の健康と安全を第一に考え、一緒に乗り越えていきましょう。

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