乾燥肌・皮脂欠乏症

保湿しているのに乾燥肌が治らないのはなぜ？

洗いすぎが原因と考えられる場合がとても多いです。石鹸やボディソープなどの界面活性剤を使用することで肌を守るために必要な皮脂や角質を落としてしまい、乾燥しがちになります。特に冬場は大気の乾燥が著しいため、乾燥肌が改善しない場合は、しばらく石鹸やボディソープなどの使用は控えましょう。また、熱すぎるお湯も皮脂を溶かしてしまうため、40度程度までの温度設定が望ましいと考えられています。また、長時間の入浴は好ましくありません。

泡で洗わないと不潔ではないですか？

日本人はほぼ毎日入浴やシャワーをあびる習慣があり、十分に清潔が保たれています。泡を使って洗わないと不潔だ、という思い込みを見直す必要があります。また、タオルで肌をこすって洗う行為も肌を傷めてしまうため、手で優しく肌を撫でる程度で十分といえます。髪の毛や顔面など、大人で言う毛の生える部分（脇、胸の中央、陰部）は皮脂の分泌が盛んであり、比較的乾燥しにくい場所といえます。これらは毎日泡で洗浄しても問題ないことが多いですが、他の部位を一緒に洗ってしまうことで、腹部や背部、四肢の乾燥が進行するため注意しましょう。特に子供やご年配の方は皮脂の分泌が少ないため、泡で洗うことで皮膚の乾燥が著しくなります。

保湿剤はどうやって使用すればよいですか？

お風呂上がりと朝の着替え時に、1日2回は使用することをおすすめします。入浴後速やかに保湿剤を使用することが推奨されたこともありましたが、入浴後に時間がたってから保湿剤を使用しても効果に大差ないことが報告されています。一方で、手や足などものや衣類で保湿剤が落ちてしまう場所はこまめに保湿剤を使用することが必要です。保湿剤は擦って刷り込むのではなく、肌に薄い膜がはっているように塗り拡げるイメージで塗布することが大切です。あとから触ってすこしベタつくくらい、ティッシュが張り付いておちないくらいが適切と言えます。広範囲に塗る場合は1箇所から塗り拡げるのではなく、何箇所かに薬をつけてから全体に塗り拡げてください。

保湿剤はどの程度使用すればよいですか？

必要量は体型によりますが、処方薬であるヒルドイドソフト軟膏を使用した場合、毎日2回全身に使用したとして1-2歳で1週間に100ｇ、3-5歳で120ｇ、6-10歳で170ｇが必要となります。チューブタイプの容器であれば、大人の指先1関節分（1FTU）で約0.5ｇ、これは大人の手のひら2枚分の塗布量に相当します。外用薬の使用量については株式会社マルホのwebサイトが参考になります。

https://www.maruho.co.jp/medical/articles/hirudoid/howto/guideline.html

かゆみが強く傷や湿疹になっています。

かきくずしてしまった場合、ステロイド外用薬を使用します。使用方法は保湿剤同様ですが、部位によって薬の種類や塗る回数が変わりますので医師に相談してください。痒みが強い場合は飲み薬を使用してかゆみをおさえることもあります。かゆみの原因が乾燥であれば洗いすぎの見直しが必要ですし、市販薬や外用薬が原因と考えられればこれらの使用を中止する必要があります。保湿に加えて、あとを残さずきれいに治すために紫外線予防を通年で行う必要があります。また、特徴的な分布や発疹がある場合はダニや疥癬などの感染症やアトピー性皮膚炎なども疑われるため受診のうえでご相談ください。

手荒れが治りません。

水や洗剤への接触を限界まで減らすことが重要です。また、手はもっとも使用する部位のため薬が触ったものに付着して簡単にとれてしまいます。そのため、保湿剤やステロイド剤を使用した後に、綿または絹手袋を着用してください。水を触るときはその上から使い捨てゴム手袋や水洗い用のゴム手袋を着用します。洗い物や濡れた洗濯物を素手で触らないように注意してください。意外に思われるとおもいますが、入浴やシャンプーについても同様に対処します。手袋内にお湯が入らないように、ゴム手袋の上から手首部分をゴムなどで縛るとよいでしょう。いつ手を洗うのか？については「洗わなくていい」という回答をする医師もいるほどです。入浴後にぬるま湯で手をあらい、塗り薬やステロイドを塗ってまた手袋を着用します。

こんな時は受診を

市販の保湿剤を使用し、洗い過ぎの見直しを行っても肌の改善が認められない場合は医療機関へ相談してください。また、アトピー性皮膚炎などでは保湿だけでは不十分なこともあり、適切なステロイド外用薬などの使用が必要なこともあります。近年では肌の状態が悪いことで様々なアレルゲンが肌から体内に入り、それによりアレルギー体質が進行することが指摘されています。大人も子供も日頃のスキンケアを見直してみてください。