- 9月 10, 2025
インフルエンザワクチンの効果と副作用を徹底解説!2025年最新情報

毎年秋になると話題になるインフルエンザワクチン接種。「本当に効果があるの?」「副作用が心配」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私も、多くの患者さんからこれらの質問を受けてきました。インフルエンザワクチンは、正しい知識を持って接種すれば、あなたと大切な人を守る重要な予防手段になります。
この記事では、インフルエンザワクチンの基本的な仕組みから、最新の効果データ、気になる副作用まで、専門医の視点から分かりやすく解説します。ワクチン接種を検討している方はもちろん、迷っている方にも役立つ情報をお届けします。
・千葉市の高齢者インフルエンザワクチンについて
・厚生労働省:インフルエンザワクチンについて
【インフルエンザワクチンの基本知識と仕組み】効果的な予防のために知っておきたいこと
インフルエンザワクチンとは何か
インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスから身体を守るために開発された予防接種です。ワクチンには、感染力を失わせたウイルスの一部が含まれており、これを体内に入れることで免疫システムを訓練します。
簡単に言うと、本物のインフルエンザウイルスが侵入する前に、体の免疫システムに「敵の顔」を覚えさせる仕組みです。事前に敵の情報を知っていれば、実際にウイルスが侵入した時に素早く対応できるのです。
ワクチンの種類と特徴
現在日本で使用されているインフルエンザワクチンは、主に「不活化ワクチン」と呼ばれるタイプです。不活化とは、ウイルスを殺して感染力をなくした状態のことを指します。
このワクチンは、毎年流行が予想される4種類のインフルエンザウイルス株(A型2種類、B型2種類)に対応しています。世界保健機関(WHO)が毎年の流行予測に基づいて推奨する株を参考に、日本でも使用するワクチン株を決定しています。
接種時期と効果が現れるタイミング
インフルエンザワクチンの接種に最適な時期は、10月から12月上旬とされています。これは、日本でインフルエンザが流行する12月から3月に備えるためです。
ワクチンを接種してから効果が現れるまでには、約2週間かかります。体の免疫システムがウイルスの情報を学習し、抗体(ウイルスと戦う物質)を作るのに時間が必要だからです。
効果の持続期間は約5か月間とされており、一度接種すればその年のインフルエンザシーズンをカバーできます。ただし、毎年ウイルスの型が変わる可能性があるため、毎年の接種が推奨されています。
【インフルエンザワクチンの効果と最新研究データ】科学的根拠に基づく予防効果
ワクチンの予防効果はどの程度か
多くの方が最も気になるのは、「ワクチンは本当に効果があるのか」という点でしょう。国内外の研究データを見ると、インフルエンザワクチンの発症予防効果は年度により変動しますが、平均して50-60%程度とされています。
これは、ワクチンを接種しなかった場合と比べて、インフルエンザにかかるリスクを半分程度に減らせることを意味します。100%の予防は困難ですが、確実にリスクを下げる効果があることが科学的に証明されています。
「100%予防できないなら意味がない」というご意見も聞きますが、ワクチンは個人での効果ではなく集団としての効果が重要視されます。自分自身の予防はもちろんですが、あなたがワクチンを接種することであなたの家族や友人たちをインフルエンザから守る効果があると考えてみてください。
重症化予防効果の重要性
発症予防だけでなく、重症化予防効果も重要なポイントです。ワクチンを接種していても感染する場合がありますが、症状が軽くなったり、入院が必要になるリスクが大幅に減少します。
特に高齢者や基礎疾患のある方では、この重症化予防効果が生命に直結する重要な意味を持ちます。日本の研究では、65歳以上の高齢者において、ワクチン接種により死亡リスクを約80%減少させるという報告もあります。
集団免疫効果への貢献
個人の予防効果だけでなく、多くの人がワクチンを接種することで「集団免疫効果」も期待できます。これは、免疫を持つ人が増えることで、ウイルスの拡散を防ぐ効果です。
特に、ワクチン接種ができない乳児や、免疫機能が低下している方を守るためにも、周囲の人々の接種が重要になります。
最新研究から分かること
2023年から2024年のシーズンにおける海外の研究では、新しいワクチン製造技術により、従来よりも高い予防効果を示すデータが報告されています。また、鼻腔内投与型ワクチン(点鼻ワクチン)の研究も進んでおり、将来的にはより効果的な選択肢が増える可能性があります。
【インフルエンザワクチンの副作用と安全性】正しく理解して安心な接種を
よくある軽い副作用
インフルエンザワクチンの副作用について心配される方は多いですが、ほとんどの場合、軽い症状で済みます。最も一般的なのは接種部位の痛みや赤み、腫れです。
これらの症状は接種後1-2日以内に現れ、通常2-3日で自然に改善します。これは体の免疫システムがワクチンに反応している正常な証拠でもあります。
全身症状としては、軽い発熱や倦怠感(体のだるさ)、頭痛などが起こることがあります。これらも通常は軽度で、1-2日程度で回復します。
重篤な副作用の頻度と対処
重篤な副作用は非常にまれですが、ゼロではありません。最も注意が必要なのはアナフィラキシー(急激なアレルギー反応)で、発生頻度は100万回接種あたり1-2件程度とされています。
このような重篤な反応は通常、接種後30分以内に現れるため、医療機関では接種後しばらく様子を見ることが推奨されています。
その他、ギラン・バレー症候群という神経系の病気が報告されることがありますが、これも100万回接種あたり1-2件程度と極めてまれです。
フルミスト使用時の注意点
フルミストは2024年より承認された鼻から吸入するワクチンです。生ワクチンのため、従来の不活化ワクチンとは使用条件が異なります。免疫機能が低下している方、重篤な喘息のある方、妊娠中の方などは使用できません。
12歳未満は2回接種が推奨されている従来のワクチンと比較すると、1回で済むといったメリットがあります。費用は注射2回分とほぼ同等ですが、来院回数が少なくて済むといった点で利便性が高いようです(2025年当院では取り扱いがありません)。
また、接種後に軽度の鼻汁や鼻づまりが起こることがありますが、これは正常な反応です。ただし、生ワクチンのため、接種後一定期間は免疫機能の低下した方との密接な接触を避ける必要があります。
接種を避けるべき人
以下のような方は、ワクチン接種を避けるか、医師との相談が必要です:
- 鶏卵に重篤なアレルギーがある方(ワクチンは鶏卵を使って製造されるため)
- 過去にインフルエンザワクチンで重篤な副作用を経験した方
- 接種当日に発熱している方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
妊娠中の方については、現在は安全性が確立されており、むしろ接種が推奨されています。妊娠中にインフルエンザにかかると重症化リスクが高まるためです。
安全性確保のための取り組み
日本では、ワクチンの安全性を継続的に監視するシステムが整備されています。副作用が疑われる症例は全て収集・分析され、必要に応じて対策が講じられます。
また、製造から流通まで厳格な品質管理が行われており、国際基準に準拠した安全なワクチンが供給されています。
ワクチン反対派の見解
インフルエンザワクチンを含め、ワクチンは人体に有害であるといった情報は、検索すれば簡単にみつかるようになります。そのような情報を閲覧すればするほど、あなたが求めている情報と認識されてどんどん遭遇率が高くなります。
上述のような副作用がワクチンにはありますが、妥当性の高い統計的処理がされた情報からは、寿命を縮めたり、不妊になったり、お子さんが発達障害になったりといった影響は認められていません。情報の発信者が誰なのか?どこの機関なのか?情報の出どころを意識してみましょう。
まとめ:正しい知識でインフルエンザワクチン接種を検討しよう
インフルエンザワクチンは、完璧な予防手段ではありませんが、科学的根拠に基づいた有効な感染症対策です。50-60%の発症予防効果と、重症化リスクの大幅な軽減が期待できます。
副作用についても、軽度なものがほとんどで、重篤な副作用は極めてまれです。適切な医療機関での接種により、安全性は十分に確保されています。
特に高齢者、基礎疾患のある方、医療従事者、教育関係者など、リスクの高い方や人との接触が多い方には、積極的な接種を推奨します。
ワクチン接種は個人の健康を守るだけでなく、家族や地域社会全体を感染症から守る社会的責任でもあります。正しい情報に基づいて、ご自身の状況に最も適した選択をしていただければと思います。
接種を検討される際は、かかりつけ医や最寄りの医療機関にご相談ください。皆さまが健康で安全なインフルエンザシーズンを過ごされることを、感染症専門医として心より願っております。