- 4月 6, 2024
- 4月 10, 2024
予防接種/ワクチン
主なワクチンの種類について
2024年現在で以下のワクチンが小児定期接種として推奨されています。
- B型肝炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン
- Hib(ヒブワクチン:ヘモフィルス・インフルエンザ型b)
- 小児用肺炎球菌ワクチン
- 四種混合ワクチン(DPT-IPV:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)
または五種混合(DPT-IPV-Hib:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ) - BCG(結核)
- MRワクチン(麻しん、風しん)
- 水痘ワクチン(水ぼうそう)
- 日本脳炎ワクチン
- DTワクチン(二種混合:ジフテリア、破傷風)
- HPVワクチン(ヒトパピローマウイルス:子宮頸がん予防)
小児の任意接種として主に以下の3つがあります。
- ムンプスワクチン(流行性耳下腺炎・おたふくかぜ)
- インフルエンザワクチン
- 新型コロナワクチン
成人用の任意接種として主に以下のものがあります。
- 成人用肺炎球菌ワクチン
- 帯状疱疹ワクチン
- 風疹ワクチン、麻疹風疹ワクチン
- 新型コロナワクチン
- 破傷風トキソイドワクチン
- 成人用三種混合ワクチン
- その他、渡航に推奨されるワクチン(黄熱病、狂犬病、チフス、A型肝炎など)
こどもの任意接種ワクチンはうたなくてもよいでしょうか?
ムンプスワクチン
接種をおすすめします。おたふくかぜは頬に位置する耳下腺が腫脹するだけの疾患ではなく、成人になってから発症することで精巣炎や卵巣炎を発症することがあり、不妊の原因となります。また膵臓が炎症を起こしたり髄膜炎の原因になることも知られています。
インフルエンザワクチン
生後6か月以上のすべてのひとに接種することをお勧めします。接種の優先度が高い人としてCDC(米国疾病予防管理センター)は以下の方をあげています。
- 生後6か月-5歳未満の乳幼児、50歳以上の成人
- 基礎疾患のある人(慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、神経疾患、血液・代謝性疾患※喘息・糖尿病を含む)、免疫不全のある人(HIV感染者を含む)
- インフルエンザ流行期に妊娠中または妊娠予定の人
- アスピリンまたはサリチル酸含有薬を服用中またはライ症候群発症リスクのある小児
- 長期療養施設に入所中の方
- 上記リスク患者を取り囲む人(医療従事者、上記患者の介護者や保護者、家族など)
13歳未満は2-4週間の間隔をあけての2回接種が国内では推奨されています。世界保健機関(WHO)は9歳未満における初めての接種のみ2回接種、それ以外では1回接種を推奨しています。
コロナワクチン
世界保健機関(WHO)は小児への接種は優先度は低いものの一定の有効性を認めており、接種の必要性については国ごとに検討することが望ましいとしています。一方で日本小児科学会は、稀ではあるものの重症化の恐れがあることや、小児においても安全で有効であることが明らかとなっていることから、2023年6月の段階では小児に対しても接種を推奨しています。
小児ワクチン接種のスケジュールについて教えて下さい。
小児ワクチンの種類は昔と比べるとかなり増えました。スケジュールは複雑なため、医療機関でも都度基本となるスケジュールを確認しながらご案内しています。標準的なスケジュールとしてKnow!VPD作成の下記資料が参考になります。詳細につきましては医療機関へお問い合わせください。
定期予防接種で健康被害が生じた場合、どうなりますか?
予防接種健康被害救済制度の対象となります。詳細は下記をご参照ください。
厚生労働省「予防接種健康被害救済制度」について
一般向けリーフレット
任意接種で健康被害が生じた場合、どうなりますか?
自費のワクチン(おたふくワクチンや帯状疱疹ワクチンなど)で健康被害が生じた場合は、上記の救済制度とは異なり、医薬品副作用被害救済制度の対象となります。
PMDA「医薬品副作用被害救済制度」について
ワクチンにはどれくらいの効果があるのですか?やはり接種したほうがいいですか?
人類の歴史は、感染症との闘いの連続でした。ペスト、天然痘、ポリオなど、多くの病気が人口に大きな打撃を与えてきました。しかし、ワクチン開発の進展はこの戦いにおいて画期的な転換点となりました。特に子供達へのワクチン接種は、子どもたちの生存率と健康を大きく改善しました。
1796年、エドワード・ジェンナーによる天然痘ワクチンの開発以来、科学者たちは数多くの感染症に対するワクチンを開発し、20世紀にはポリオ、麻疹、風疹ワクチンが子供たちを致命的な病気から守るために導入されました。これらのワクチンの普及により、小児死亡率は劇的に減少し、人類の平均寿命は大幅に延びました。
ワクチンによる恩恵は、特に子供達に顕著です。かつて多くの子供たちの命を奪った病気が、ワクチンによって予防可能となり、子供たちはより健康で長生きするようになりました。これにより、平均寿命の延伸だけでなく、将来的に健康な大人へと成長するための基盤が築かれました。国内においても「七歳までは神のうち」という言葉があったくらい、それまでに感染症などで子供が命を落とすことは日常的なことでした。
ワクチン開発は、感染症との戦いにおける人類の大きな勝利の一つです。特に子供達への接種は、小児死亡率の減少と健康な社会の実現に不可欠な役割を果たしています。今後も新たな感染症に立ち向かうため、ワクチンの開発と普及は重要な取り組みであり続けます。
ワクチンを子供に接種しないという方がいます。ワクチンは危険なのでしょうか?
ワクチンに対して慎重な立場を取るのは、子どもへの深い愛と責任感からではないでしょうか。私たち医療従事者も、子どもたちの笑顔と健康を一番に願っています。情報があふれる中で、どの情報を信じるかは難しい選択ですが、私たちの共通の目指すべきゴールは、子どもたちのための最善の道を選ぶことです。
子どもたちに健やかに育ってほしいという願いは、国や人種が違えども万国共通です。その1つの手段としてのワクチンについて考えが異なることは、その願いが違うというわけではないと思います。
情報化社会においては自分の探している情報が検索上位に表示されやすくなります、これはSNSでも同様です。自分の嗜好をアルゴリズムやAIが解読し、自分の考えや信条にとって都合のいいものばかりが身の回りにあふれるようになります。その結果、やはり自分の考えが正しいと思い込んでしまったり、自分と異なる意見が遮断されてしまうといった、「エコーチェンバー現象」や「フィルターバブル効果」という状況に陥ってしまうことが心理学領域で知られています。また、人は理論や理屈よりも「信頼」や「感情」によって考えが大きく左右されます。見ず知らずの科学者や研究機関が作成した科学的なデータよりも「身近な情報源」「センセーショナルな内容」「有名人から発信された情報」などが優先されてしまうのは、人の習性から仕方がないことだと言えます。このような現象について過去にNHKでも取り上げられています。
ワクチンの安全性や効果について話し合い、理解を深めることは、子どもたちを守るためにとても重要なことです。結局のところ、私たちが望むのは、子どもたちが元気に、幸せに成長することです。ワクチンはその一つの手段です。考え方やアプローチの方法が異なっても、子どもたちのことを第一に考える心は同じです。対話を通じて、子どもたちにとっての最良の選択を一緒に見つけていきましょう。