アレルギー検査

アレルギー検査の結果は正確ですか？

アレルギー検査は、健康管理において重要なツールの一つですが、その使用には慎重な判断が求められます。当院でも施行可能な「view39」や「イムノキャップラピッド8」などのアレルギー検査は、同時に多数の項目の検査が実施可能ですが、検査で陽性となったからといって必ずしもそれに対してアレルギー症状が出現するわけではない、という点に注意が必要です。また、当院における保険診療の都合により6歳未満のお子さんへのアレルギー検査はお断りしています。

どのようなデメリットがありますか？

• 誤った食品除去のリスク：例えば、子どもが普段問題なく卵を摂取しているにも関わらず、検査で卵白に対する数値が高いと示された場合、卵の摂取を恐れるようになるかもしれません。同様に、まだ試していない他の食品に対しても、高い値が出た場合には、子どもがそれらを食べられないと考えてしまう傾向があります。これらのケースでは、実際には除去の必要がないことが多く、または少量から摂取を開始し、徐々に量を増やしていくことで食べられるようになるケースもあります。
• 栄養失調の懸念：多項目の同時検査が可能な検査を行うと、多くの食品で陽性反応が出ることがあります。これに基づいて不適切な食品除去を行うと、子どもの栄養失調につながるリスクがあります。

検査①イムノキャップラピッド8

花粉/ハウスダスト系の特異的IgE抗体（アレルギー症状の原因となる免疫物質の一種）の有無を調べるための簡易検査です。

メリット：

• 指先を細い針で指すだけで採血できるのでお子さんでも検査が容易。
• 採血から20分程度で結果がわかる。
• スギやダニを対象とした舌下免疫療法開始の材料となる。

デメリット：

• 検査で陽性となっても症状の原因かどうかまではわからない。
• 検査できる抗原は以下の8項目のみ。食物は検査できない。
• そのため、検査結果をうけてとった回避行動が実際は不要である場合もある。

検査②View39

食物を含む39項目の特異的IgE抗体（アレルギー症状の原因となる免疫物質の一種）の有無を調べるための簡易検査です。

メリット：

• 一度の採血で食物を含む39項目の検査が可能。
• 検査費用は個別に行う13項目までの検査費用と同等。
• スギやダニを対象とした舌下免疫療法開始の材料となる。

デメリット：

• 検査で陽性となっても症状の原因かどうかまではわからない。
• 検査結果の確認に1週間程度必要。当日の検査結果確認は不可能。
• 木の実類のアレルギー（例：クルミやカシューナッツ）検査は含まれない。
• 卵に含まれるタンパク質の一種であるオボムコイド以外のアレルゲンの測定ができない。
• そのため、オボムコイドが陰性であっても卵アレルギーがないとは言えない。
• 腕からの採血が必要。小さないお子さんの採血は当院では行えません（概ね10歳以上から可）。

症状がでるかどうかはどうやったらわかりますか？

view39やイムノキャップラピッド8では陽性結果がでても、実際に症状が出現するかどうかまでの情報は得られません。症状が出現するかどうかを確認するには「プロバビリティカーブ」が必要です。例えば、イムノキャップ（同ラピッド8とは異なる採血検査）では「IgE抗体価」が数値で返されますが、アレルゲンごとに年齢に応じて症状を誘発する可能性を推定することができます。同じ数値であっても年齢によって症状の出現する可能性が異なるのです。この検査は腕からの採血が必要となることや、経口摂取の方針決定は小児アレルギー専門医の判断が必要であるため、当院ではお子様のイムノキャップ採血検査は実施しておりません。

どの検査を受ければよいでしょうか？

検査によって治療方針が変わることはあまり多くはありません。view39やイムノキャップラピッド8は万能ではなく、参考や目安程度にとどめることが賢明です。思わぬ検査結果によって不要な回避行動につながる懸念があることから、食物アレルギーやアレルギー性鼻炎などの症状に基づいて疑わしい原因抗原を選び、検査を検討することが推奨されます。これらとは別に、喘息や鼻炎などをお持ちの方を対象に特定のアレルゲン検査は保険適応内で13項目まで検査が可能です。これにより、より精度の高い診断と適切な治療方針の決定が可能となります。

まとめ

「view39」や「イムノキャップラピッド8」検査は、特定の状況下で有用な情報を提供することができますが、その結果の解釈には慎重さが求められます。誤った食品除去による栄養失調のリスクや、検査の限界を理解し、医師と十分に相談しながら、最も適切な検査方法を選択することが重要です。