- 5月 24, 2025
ウイルス性胃腸炎の症状と対処法|子どもの嘔吐下痢を正しくケアする方法2025

胃腸炎とは?
お子さんが突然嘔吐したり下痢をしたりして、慌てた経験はありませんか? これらの症状の多くは、ウイルス性胃腸炎によるものです。
ウイルス性胃腸炎は、ウイルスが胃や腸に感染することで起こる病気です。 「お腹の風邪」や「胃腸風邪」と呼ばれることもあります。実際には胃炎を合併することはほとんどなく、腸粘膜の炎症による症状が主体です。そのため、単に「腸炎」と呼ばれることもあります。
胃腸炎は1年中認められますが、特に冬場に流行しやすく、保育園や学校などの集団生活の場で感染が広がりやすい特徴があります。 家族内でも次々とうつってしまうことが少なくありません。
症状は突然始まることが多く、激しい嘔吐や下痢で脱水症状を起こす心配もあります。 そのため、正しい知識を持って適切に対処することがとても重要です。
この記事では、ウイルス性胃腸炎の症状や家庭でのケア方法、予防対策について詳しく解説します。 お子さんが安心して回復できるよう、ぜひ参考にしてください。
【ウイルス性胃腸炎の症状と原因ウイルス】知っておきたい基本知識
ウイルス性胃腸炎を引き起こす主なウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどがあります。 それぞれ少しずつ特徴が異なりますが、基本的な症状は似ています。
ノロウイルスは、冬場の胃腸炎の代表的な原因です。 感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染してしまいます。
症状は突然始まることが多く、激しい嘔吐と下痢が特徴です。 発熱することもありますが、高熱になることは少なく、多くは37度から38度程度です。
ロタウイルスは、主に乳幼児がかかりやすいウイルスです。 白っぽい水のような下痢が特徴的で、「白色便性下痢症(はくしょくべんせいげりしょう)」とも呼ばれます。
発熱や嘔吐も起こりやすく、特に小さなお子さんでは脱水症状になりやすいので注意が必要です。 現在は予防接種があるため、重症化することは少なくなっています。
アデノウイルスによる胃腸炎は、一年を通して見られます。 下痢が長く続くことが特徴で、1週間から2週間程度症状が続くことがあります。
共通する主な症状は、突然始まる嘔吐、水のような下痢、腹痛、発熱です。 嘔吐は病気の初期に強く現れ、通常1日から2日で治まります。
下痢は嘔吐より長く続くことが多く、3日から1週間程度続くのが一般的です。 便の色は白っぽくなったり、緑がかったりすることがあります。
腹痛は、お腹全体が痛むことが多く、特に下腹部に強い痛みを感じることがあります。 小さなお子さんは痛みを上手に伝えられないので、機嫌が悪くなったり、お腹を抱えるような仕草をしたりします。
発熱は必ず起こるわけではありませんが、多くの場合軽度から中等度の熱が出ます。 高熱が続く場合は、他の感染症の可能性も考える必要があります。
症状の程度は個人差が大きく、軽い下痢だけで済む場合もあれば、激しい嘔吐と下痢で入院が必要になる場合もあります。 特に乳幼児や高齢者では重症化しやすいので注意が必要です。
【ウイルス性胃腸炎の治療と家庭ケア】脱水を防ぐ正しい対処法
ウイルス性胃腸炎には、ウイルスを直接やっつける薬はありません。 そのため、治療の中心は症状を和らげる対症療法と、脱水症状を防ぐことです。
最も重要なのは、適切な水分補給です。 嘔吐や下痢によって体の水分と電解質(でんかいしつ)が失われるため、これを補う必要があります。
電解質とは、ナトリウムやカリウムなど、体の機能を正常に保つために必要なミネラルのことです。 水だけでなく、これらの成分も一緒に補給することが大切です。
経口補水液(けいこうほすいえき)は、失われた水分と電解質を効率よく補給できる飲み物です。 薬局で購入(OS-1、アクアライトなど)できるほか、家庭でも作ることができます。
家庭で作る場合は、水1リットルに食塩3グラム、砂糖40グラムを溶かします。 レモン汁を少し加えると飲みやすくなります。
水分補給のコツは、一度にたくさん飲まず、少量ずつ頻繁に与えることです。 ティースプーン1杯から始めて、5分から10分おきに与えましょう。
冷たすぎる飲み物は胃腸を刺激するので、常温かぬるめの温度がおすすめです。 炭酸飲料や果汁100パーセントのジュースは、下痢を悪化させることがあるので避けてください。
嘔吐が激しい場合は、一時的に飲食を控えることも必要です。 嘔吐が治まってから、少しずつ水分補給を再開しましょう。
食事については、胃腸に負担をかけない消化の良いものを選びます。 おかゆ、うどん、バナナ、りんごのすりおろし、白身魚などがおすすめです。
乳製品や脂っこい食べ物、繊維の多い野菜は消化に負担をかけるので、症状が治まるまで避けましょう。 母乳やミルクは、基本的には続けて大丈夫ですが、下痢がひどい場合は一時的に薄めることもあります。
下痢止めの薬は、基本的には使わない方が良いとされています。 下痢は体がウイルスを外に出そうとする自然な反応なので、無理に止める必要はありません。
ただし、医師が必要と判断した場合は、腸の動きを整える薬や整腸剤を処方することがあります。 自己判断で市販薬を使うのは避け、必ず医師に相談してください。
安静にして体力の回復を図ることも大切です。 十分な睡眠を取り、無理をせずにゆっくり過ごしましょう。
お風呂については、熱がなく元気であれば入っても構いません。 ただし、体力を消耗するので短時間にとどめ、湯冷めしないよう注意してください。
【ウイルス性胃腸炎の予防と感染対策】家族全員で取り組む感染防止
ウイルス性胃腸炎は非常に感染力が強い病気です。 主な感染経路は、飛沫感染、接触感染、経口感染の3つです。
飛沫感染は、患者の嘔吐物や便が乾燥して空気中に舞い上がったウイルスを吸い込むことで起こります。 接触感染は、ウイルスが付いた手で口を触ることで感染します。
経口感染は、ウイルスに汚染された食べ物や水を摂取することで起こります。 特にノロウイルスは、牡蠣などの二枚貝を生や加熱不十分な状態で食べることで感染することがあります。
最も効果的な予防方法は、こまめで正しい手洗いです。 流水と石けんを使って、30秒以上かけてしっかりと洗いましょう。
手洗いのタイミングは、トイレの後、食事の前、外から帰った時、患者のケアをした後などです。 特に嘔吐物や便の処理をした後は、入念に手洗いを行ってください。
アルコール系の消毒剤は、ノロウイルスにはあまり有効ではありません。 そのため、基本的には石けんでの手洗いを優先し、次亜塩素酸消毒を使いましょう。
嘔吐物や便の処理は、二次感染を防ぐために正しい方法で行うことが重要です。 使い捨ての手袋とマスクを着用し、ペーパータオルなどで静かに拭き取ります。
処理後は、次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさんナトリウム)系の消毒剤で消毒します。 家庭用漂白剤を薄めて使うことができます。
消毒液の作り方は、家庭用漂白剤を200倍に薄めます。 具体的には、漂白剤10ミリリットルを水2リットルで薄めます。
衣類や寝具が汚れた場合は、すぐに処理することが大切です。 可能であれば使い捨てにし、洗濯する場合は他の洗濯物と分けて洗いましょう。
食品の取り扱いにも注意が必要です。 加熱調理をする場合は、中心温度85度から90度で90秒以上加熱しましょう。
生野菜や果物は、流水でよく洗ってから食べます。 調理器具も使用後はしっかりと洗浄し、定期的に消毒しましょう。
患者が使った食器やタオルは、他の家族と分けて使用します。 食器は食器用洗剤でよく洗い、可能であれば熱湯消毒を行います。
室内の換気も感染予防に効果的です。 定期的に窓を開けて新鮮な空気を取り入れ、ウイルスの濃度を下げましょう。
家族内での感染を完全に防ぐのは難しいですが、これらの対策を行うことで感染リスクを大幅に減らすことができます。
症状が改善してからも、便中にはしばらくウイルスが排出されます。 完全に回復してから1週間程度は、特に注意深く手洗いを続けましょう。
重要な受診の目安として、以下の症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。 水分が取れない状態が続く、尿が出ない、意識がもうろうとする、高熱が続く、血便が出るなどの症状です。
ウイルス性胃腸炎は適切な対処により、多くの場合1週間以内に回復します。 焦らず、正しいケアを続けることで、お子さんの早期回復をサポートしましょう。