• 8月 7, 2024

眠気・いびき・高血圧・・・睡眠時無呼吸症候群?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

 夜ぐっすり眠っているはずなのに、日中に強い眠気を感じる。このような症状の背景にSASが潜んでいる可能性があります。SASは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる、または浅くなる状態が続く睡眠障害です。これにより、質の高い睡眠が得られず、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

SASには主に以下の3種類があります:

a) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS):最も一般的なタイプで、上気道が物理的に閉塞することで起こります。
b) 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS):脳からの呼吸指令が適切に機能しないことで起こります。
c) 複合性睡眠時無呼吸症候群:OSASとCSASの両方の特徴を持つタイプです。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状

SASの症状は夜間と日中に分けられます。

夜間の症状:

  • 大きないびき
  • 呼吸停止
  • 息苦しさで目が覚める
  • 寝返りが多い
  • 夜間頻尿

日中の症状:

  • 日中の強い眠気
  • 起床時の頭痛
  • 集中力低下
  • 記憶力の減退
  • イライラ感や抑うつ気分

SASを発症しやすい条件(リスク因子):

  • 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
  • 加齢
  • 男性
  • 首周りが太い
  • アルコールの多飼
  • 喫煙
  • 鼻炎やアレルギー性鼻炎
  • 顎や顔の形態異常

睡眠時無呼吸症候群を抱える人の割合・合併症

日本人の成人男性の4人に1人、女性の50人に1人がSASの可能性があるとされています。特に、中高年の男性に多く見られますが、女性や子どもにも発症することがあります。

また、SASを放置すると、以下のような深刻な合併症のリスクが高まります:

    • 高血圧
    • 心臓病(不整脈、心不全、虚血性心疾患など)
    • 脳卒中
    • 糖尿病
    • うつ病
    • 認知機能低下
    • 交通事故や労働災害のリスク増加

    睡眠時無呼吸症候群の評価・検査方法

    当院では、以下の方法でSASの診断を行っています:

      a) STOP BANGスコア
      STOP BANGは、SASのリスクを簡単に評価できる問診票です。
      以下の8項目について、該当する場合は各1点を加算します:

      • S (Snoring): いびきをかく
      • T (Tired): 日中の疲労感や眠気がある
      • O (Observed): 睡眠中に呼吸停止を指摘されたことがある
      • P (Pressure): 高血圧である、または治療中
      • B (BMI): BMIが35kg/m²以上
      • A (Age): 50歳以上
      • N (Neck): 首周りが40cm以上(男性)、38cm以上(女性)
      • G (Gender): 男性

      3点以上でSASの可能性が高いと判断され、さらなる検査が推奨されます。

      b) 睡眠ポリグラフ検査(PSG)
      PSGは、SAS診断の金標準とされる検査です。当クリニックでは最新の携帯型PSG機器を導入し、自宅で快適に検査を受けていただくことが可能です。

      検査の流れ:

      1. クリニックで機器の使用方法をご説明します。
      2. 医療機器業者より機器が郵送されるので、ご自宅で機器を装着し、自宅で一晩過ごします。
      3. 翌日、機器を業者へ返却いただき、データを分析します。

      測定項目:

      • 脳波
      • 眼球運動
      • 顎の筋電図
      • 鼻と口の気流
      • 胸と腹の呼吸運動
      • 酸素飽和度
      • 心電図
      • 体位

      c) 簡易検査
      PSGほど詳細ではありませんが、自宅で簡単に行える検査キットも用意しています。呼吸や酸素飽和度、体位などを測定し、SASの可能性を評価します。重度であればPSGを行わずとも後述するCPAPの保険治療の対象となります。中等症であった場合は、PSGで精密検査を行ったうえでCPAP治療の適応の可否を判断します。

      睡眠時無呼吸症候群の治療法

      SASの治療は、重症度や原因に応じて選択されます。

      a) CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
      最も一般的かつ効果的な治療法です。就寝時に専用のマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を確保します。当クリニックでは、オンライン診療を活用し、忙しい方でも継続的な通院が可能です。

      b) マウスピース療法
      軽度から中等度のSASに効果的です。下顎を前方に引き出し、気道を確保します。CPAP療法に比べて装着感が良く、携帯性に優れているのが特徴です。

      c) 手術療法
      重度のSASで他の治療法が効果的でない場合に検討します。主な手術方法には以下があります:

      • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)
      • 舌根正中部分切除術
      • 上下顎前方移動術

      d) 生活習慣の改善
      後述の「日常生活での注意点」を参照してください。

      日常生活でのSAS改善のための注意点

      SASの改善や予防のために、以下の点に気をつけましょう:

      a) 適正体重の維持
      肥満はSASの主要なリスク因子です。適度な運動と健康的な食事で体重管理を行いましょう。

      b) 睡眠姿勢の工夫
      横向きに寝ることで、舌根が気道を塞ぐのを防ぐことができます。背中にテニスボールを縫い付けたTシャツを着用するなど、工夫して横向きの姿勢を保ちましょう。

      c) 就寝環境の整備

      • 寝室は暗く、静寂、適温を保ちましょう。
      • 快適な寝具を使用し、首や背中のサポートを考慮しましょう。

      d) 規則正しい睡眠習慣

      • 毎日同じ時間に起床・就寝するよう心がけましょう。
      • 十分な睡眠時間(7-8時間程度)を確保しましょう。

      e) 食事と飲酒の管理

      • 就寝前3時間は大量の食事を避けましょう。
      • アルコールは適量にとどめ、就寝直前の飲酒は控えましょう。

      f) 禁煙
      喫煙は上気道の炎症を引き起こし、SASを悪化させる可能性があります。禁煙に取り組みましょう。

      g) アレルギー性鼻炎の管理
      鼻炎があると口呼吸になりやすく、SASのリスクが高まります。適切な治療を受けましょう。

      h) 運動習慣の確立
      定期的な有酸素運動は、体重管理だけでなく、睡眠の質も向上させます。ただし、就寝直前の激しい運動は避けましょう。

      i) ストレス管理
      ストレスは睡眠の質を低下させる可能性があります。瞑想やヨガなどのリラックス法を取り入れましょう。

      j) 就寝前のルーティン
      就寝1時間前からはリラックスタイムとし、スマートフォンやタブレット、PCなどブルーライトを発する機器の使用を控え、読書や軽いストレッチなどでリラックスしましょう。

      まとめ

      SASは適切な診断と治療、そして日常生活での取り組みにより、大幅に改善することができます。

      気になる症状がある方は、まずはSTOP BANGスコアで自己評価を行っていただき、結果についてお気軽にご相談ください。詳細な情報が記載された企業パンフレットをご用意しています。ご来院の際にお声がけください。

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