- 9月 12, 2026
保険診療だけでは改善しにくいニキビへ|イソトレチノインの効果・費用・副作用(千葉市若葉区)

ディフェリン(アダパレン)やベピオ(過酸化ベンゾイル)、エピデュオ(アダパレン+過酸化ベンゾイル)などの外用薬を適切に続けても、赤く腫れたニキビを繰り返す、しこりのようなニキビができる、ニキビ跡が増えていく――このような中等症~重症・難治性のニキビに対し、自費診療によるイソトレチノイン内服治療(イソトロイン20mg)を開始しました。海外ではスタンダードな内服治療ですが国内では承認されておらず、ニキビで悩まれている皆様に当院ができることはないかと考え、取り扱いに踏み切りました。イソトレチノインは高い治療効果が期待できる一方、重大な催奇形性があり、国内未承認の医薬品です。治療の対象、費用、検査、安全上の注意を解説します。
最初にご確認ください
- 主な対象は、標準治療で改善しにくい中等症~重症の活動性ニキビです
- 活動性ニキビを抑えることで、新たな炎症後紅斑や瘢痕が形成されるリスクを減らす治療です
- すでに完成したクレーター状のニキビ跡を直接治す薬ではありません
- 日本国内では未承認のため、自費診療となります
- 妊娠中・授乳中・妊娠を希望している方は内服できません
目次
1.どのようなニキビが対象ですか
日本の保険診療では、毛穴のつまりを改善するアダパレン、アクネ菌の増殖と炎症を抑える過酸化ベンゾイル、これらの配合剤などが治療の中心です。炎症が強い場合には、抗菌薬の外用・内服を一定期間併用します。多くの方は、これらの標準治療を適切に継続することで改善します。
一方、標準治療を十分に行っても炎症性ニキビを繰り返す方、結節・囊腫を伴う方、ニキビ跡が増え続けている方では、イソトレチノインが選択肢となります。海外の診療ガイドラインでは、重症ニキビ、標準治療に反応しないニキビ、瘢痕形成の危険が高いニキビなどに推奨されています。
イソトレチノインは活動性ニキビを抑えることで、新たな炎症後紅斑や瘢痕の形成を防ぐ治療です。すでに完成したクレーター状瘢痕を平坦に戻したり、残っている赤みだけを直接消したりする治療ではありません。ニキビ跡だけが残っている場合は、別の治療が適することがあります。
2.イソトレチノイン(イソトロイン20mg)とは
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体であるレチノイドに分類される内服薬です。皮脂腺を縮小して皮脂分泌を大きく減らすほか、毛穴の角化異常や炎症など、ニキビの複数の発症要因に作用します。米国などでは、重症・難治性ニキビの治療薬として承認されています。
日本では承認されておらず、公的医療保険は適用されません。当院では、安全性と忍容性を考慮し、原則として1日20mgから開始します。治療期間は4~6か月程度が一つの目安ですが、体重、ニキビの状態、効果、副作用、新しい皮疹の有無によって個別に判断します。必要に応じて治療期間を延長することがあります。
低用量治療について
海外の標準的な投与量より少ない用量で治療する方法は、唇や皮膚の乾燥などを軽減しやすい一方、治療終了後に再発する可能性があります。効果と副作用のバランスをみながら、継続・終了を判断します。
3.当院での治療の流れ
STEP 1:診察・適応の確認
現在のニキビの重症度、これまでの治療内容、既往歴、服用中の薬やサプリメント、妊娠の可能性などを確認し、イソトレチノインが適切かを判断します。軽症の場合や保険診療による標準治療が十分に行われていない場合は、先に保険診療をご提案することがあります。
STEP 2:検査の必要性を判断
肝機能・脂質などについては、治療開始前の問診、既往歴、生活習慣、服用薬、最近の健康診断結果を確認し、追加採血の必要性を判断します。必要な検査項目を含む直近の健診結果などがある場合は、当院での採血に代えられることがあります。治療開始後は、治療前の数値、リスク、用量、症状などに応じて検査時期と回数を個別に判断します。
内服開始後の検査も、治療前の数値やリスク、治療中の変化に応じて個別に行います。妊娠の可能性がある方の妊娠確認は、肝機能・脂質検査とは別の必須の安全管理です。
STEP 3:処方開始
治療可能と判断した場合、イソトロイン20mgを原則として1日1回、1カプセル服用します。食事と一緒、または食後に服用してください。自己判断での増量・中断はせず、飲み忘れた場合も2回分をまとめて服用しないでください。
STEP 4:定期診察
原則として30日分ずつ処方し、ニキビの改善度、乾燥などの副作用、体調や心理面の変化を確認します。治療開始後、一時的にニキビが悪化することがあります。気になる症状がある場合は、次回診察を待たずにご相談ください。
4.妊娠・避妊に関する重要事項
妊娠中の服用は重大な胎児奇形や流産の原因となります
妊娠中・授乳中・妊娠を希望している方は服用できません。妊娠の可能性がある方は、治療開始前から治療中、治療終了後1か月まで確実な避妊が必要です。避妊方法は診察時に確認します。
| 項目 | 当院での対応 |
|---|---|
| 内服開始前 | 妊娠していないことを確認します。妊娠の可能性がある方には、原則として治療開始1ヶ月前から確実な避妊をお願いし、状況にり妊娠検査を行います。 *経口避妊薬との併用も可能です。 |
| 内服中 | 確実な避妊を継続し、妊娠の可能性に応じて定期的に妊娠検査を行います。 |
| 内服終了後 | 終了後1か月間は避妊を継続します。必要に応じて終了後にも妊娠検査を行います。 |
| 妊娠の可能性が生じた場合 | 直ちに服用を中止し、すぐに当院へご連絡ください。 |
| 男性の服用 | 精液を介した胎児への影響は極めて低いとされており、男性患者についてはイソトレチノインを理由とする避妊は必要ないとされています。 |
| 献血 | 服用中および服用終了後1か月間は献血できません。 |
5.副作用・内服できない方
比較的よくみられる副作用
- 唇・皮膚・眼・鼻の乾燥、皮むけ、鼻出血
- 日光に対する皮膚の過敏、刺激感
- コンタクトレンズの装用困難
- 頭痛、吐き気
- 筋肉痛・関節痛
- 一時的な抜け毛
- 肝機能異常、中性脂肪・コレステロールの上昇
治療中は保湿剤とリップクリームを使用し、日中は日焼け止めなどで紫外線対策を行ってください。飲酒は肝機能や中性脂肪に影響するため、できるだけ控えてください。
すぐに服用を中止し、連絡していただきたい症状
- 強い頭痛、視覚の異常、繰り返す嘔吐
- 強い腹痛、著しい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる
- 広範囲の発疹、水疱、口腔内のただれ
- 強い気分の落ち込み、焦燥感、自傷・自殺に関する考えなど
抑うつ、不安、自傷念慮などの精神症状が報告されていますが、イソトレチノインとの因果関係は確立していません。ニキビ自体も心理状態に影響するため、治療前後の変化を確認します。ご本人だけでなく、ご家族が変化に気づいた場合もご連絡ください。
性欲の低下、勃起・射精に関する変化などの性機能症状も報告されていますが、頻度やイソトレチノインとの因果関係が明確でないものもあります。治療中に変化を感じた場合はご相談ください。
内服できない方・特に慎重な判断が必要な方
- 妊娠中、授乳中、妊娠を希望している方
- イソトレチノインまたは製剤成分にアレルギーがある方
- 重い肝機能障害、著しい脂質異常症がある方
- テトラサイクリン系抗菌薬、ビタミンA製剤を使用中の方
- ビタミンAを含むサプリメントを使用している方
当院では、骨の成長への影響を考慮し、原則として15歳以上で、身長の伸びが概ね終了している方を対象とします。これは当院独自の安全基準であり、医学上すべての15歳未満が一律に禁忌という意味ではありません。肝疾患、脂質異常症、精神疾患などの既往がある方は、状態に応じて慎重に適応を判断します。
外用レチノイドや刺激の強いスキンケアは、乾燥や皮膚刺激を悪化させることがあります。美容施術を受ける予定がある場合も、事前にご相談ください。薬を他人に譲ることは絶対にしないでください。
6.費用
本治療は自費診療であり、公的医療保険は適用されません。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| イソトロイン20mg・30カプセル | 6,600円 |
| 血液検査(必要な場合) | 5,500円/回 |
| 薬剤費の目安 | 4か月:26,400円 5か月:33,000円 6か月:39,600円 |
※血液検査の要否・回数は、事前リスク、検査結果、最近の健康診断結果などにより異なります。必要な項目と時期を満たす健診結果などで代用できる場合があります。治療期間が延長された場合は、1か月につき薬剤費6,600円が加わります。
※相談のみで処方や検査を行わない場合、診察料3000円(初診時)、2000円(再診時)をいただきます。
7.未承認医薬品について
国内の承認状況と入手経路
イソトレチノインは、日本国内では医薬品医療機器等法上の承認を受けていません。国内に同一成分の承認医薬品はありません。当院で使用するイソトロイン20mgは、医師の責任のもと、治療目的で所定の輸入手続きを経て入手する未承認医薬品です。
海外での承認・安全性情報
イソトレチノインは米国などで重症・難治性ニキビの治療薬として承認されています。一方、重大な催奇形性があるため、海外では妊娠防止のための厳格な管理が行われています。肝機能異常、脂質上昇、精神症状、頭蓋内圧亢進、重篤な皮膚症状なども報告されています。
副作用被害救済制度
国内未承認医薬品の使用によって生じた健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。治療の利益と危険性について説明を受け、十分に理解したうえで治療を選択してください。
詳しくは、厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」をご確認ください。
院長より
私自身、ニキビで悩んだ経験があります。当時と比べ、アダパレンや過酸化ベンゾイルなど保険診療の選択肢が大きく広がりました。まずはこれらの標準治療を適切に行うことが基本です。
それでもニキビを繰り返し、新たな赤みや瘢痕が増えてしまう方がいます。イソトレチノインは、そうした重症・難治性ニキビに対する有力な選択肢です。期待できる効果だけでなく、他の治療選択肢や副作用も理解した上で服用をご検討ください。
8.よくあるご質問
Q.ニキビ跡や赤みだけでも治療できますか?
イソトレチノインは、活動性ニキビを抑えて新しい跡を防ぐための薬です。ニキビがほぼ治まり、赤みやクレーター状瘢痕だけが残っている場合には、イソトレチノイン以外の治療が適することがあります。
Q.保険診療の治療で改善しなければ、すぐに始められますか?
これまでの治療内容と継続期間、現在の重症度、瘢痕形成の危険性、既往歴などを確認して判断します。標準治療が十分に行われていない場合は、先に保険診療をご提案することがあります。
Q.保険診療の薬と併用できますか?
テトラサイクリン系抗菌薬やビタミンA製剤は併用できません。アダパレンなどの外用薬や刺激の強いスキンケアも、乾燥・刺激を悪化させるため中止または調整することがあります。イソトレチノインに関する診察・検査・薬剤は自費診療として扱いますが、ニキビと関係のない病気は通常どおり保険診療が可能です。
Q.血液検査は必ず必要ですか?
全員に同じ頻度で行うわけではありません。既往歴、生活習慣、服用薬、最近の健康診断結果などを確認し、必要性を個別に判断します。必要項目を含む最近の健診結果などがあれば、当院での採血に代えられる場合があります。妊娠の可能性がある方の妊娠確認は別途必要です。
Q.どのくらいで効果が出ますか?
個人差がありますが、1~3か月ほどで皮脂や炎症性ニキビの減少を実感する方がいます。治療開始直後は、一時的に悪化することがあります。当院では4~6か月を最初の治療期間の目安としますが、20mgの低用量治療では、体重や治療効果によってさらに長期間の内服が必要になることがあります。皮疹の状態、副作用、再発リスクを確認しながら終了時期を判断します。
Q.治療後に再発することはありますか?
あります。特に低用量で治療した場合は、治療終了後に再発する可能性があります。再発時は重症度に応じて外用薬による維持療法や再治療などを検討します。
9.まとめ
イソトレチノインは、標準治療で改善しにくい中等症~重症の活動性ニキビを抑え、新たな炎症後紅斑や瘢痕の形成を防ぐための治療選択肢です。すでに完成したニキビ跡を直接治す薬ではありません。国内未承認で重大な催奇形性があるため、適応の確認、妊娠防止、副作用の観察が欠かせません。メリットとリスクの両方を理解したうえでご検討ください。
参考文献・情報源
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
- American Academy of Dermatology: Guidelines of care for the management of acne vulgaris, 2024
- NICE guideline NG198: Acne vulgaris management
- U.S. National Library of Medicine, DailyMed: Isotretinoin
最終更新:2026年9月