- 11月 4, 2023
- 5月 6, 2024
こどものかぜ
なぜ”かぜ”をひくの?
かぜはライノウイルスなどによる感染症で、子供は大人に比べて風邪をひく回数が多く、幼児では年6-8回は風邪をひくといわれ、症状の改善に10日~2週間かかります。
かぜ薬や抗生物質をもらったほうがいい?
咳止めや去痰剤などが一般的に処方されますが、これらに風邪を早く治す効果や症状を軽くする効果はほとんどないと考えられています。薬をもらっても効果に実感が持てない場合は、自然経過をみまもることも賢い選択肢といえます。かぜの原因はウイルスなので、細菌をやっつける抗生物質は効果がありません。むしろ下痢などの副作用が問題となります。
ウイルスの迅速抗原検査は受けたほうがいい?
自然に治ってしまう病気なので、普段元気なお子さんに、医学的にこれらの検査が必要な状況はほとんどありません。他の病気でないことの確認のために実施を提案する場合があります。検査が必要な場合は医師から提案をします。RSウイルスやヒトメタニューモウイルスなど、一部の検査は保険診療が年齢で制限されているものもあります。これらも基本的には風邪と同様で、肺炎など重症化しなければ、解熱剤などの対症療法のみで自然治癒が期待できます。
鼻水はとってあげたほうがいいですか?
電動の鼻吸引器による鼻汁の吸引は最も重要なホームケアです。医療機関で一度とってもすぐに鼻汁は溜まってしまうので、有効とは言えません。自宅で一日数回の鼻汁吸引を行ってあげることで鼻詰まりが軽快し夜も寝やすくなります。お風呂上がりは鼻腔が加湿され吸引し易いタイミングです。
メルシーポットが市販の吸引器として人気です。
せきが止まらないときは?
せきは長引きやすく、治るのに2-3週間かかる場合もあります。処方されるせき止めも有効性はほとんどなく、市販のヴェポラッブを塗ったり、1歳以上ではハチミツを飲むことである程度のせき止め効果があることがわかっています。小さなお子さんの場合、せき込んで嘔吐することもありますが、元気にしていて食欲もあれば心配いりません。変な咳(オットセイの鳴き声のよう)、呼吸がヒューヒュー・ゼイゼイしている、苦しくて横になれない、などの場合は医療機関を受診してください。
熱がでたらどうしたらいい?
熱は体が体温をあげてウイルスをやっつけるための防御反応なので、熱そのものが悪いわけではありません。しかし、熱のために水分がとれなかったり、うまく寝付けないときは解熱剤を使用して、熱が1-2℃下がったところで水分や休養をとるといいでしょう。この際、平熱まで下げる必要はありません。粉もシロップも坐薬も効果はかわらないので、使いやすいものを使用しましょう。生後3か月までの熱は、髄膜炎などのこわい感染症の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。
どんどん悪化してきいます。大丈夫でしょうか?
かぜがなかなか治らず、10日前後で再度悪化したり、発熱を認める場合は副鼻腔炎への進展が予想されます。ほかにも中耳炎や気管支炎・肺炎となっている場合もあります。かぜは自然治癒する病気ですが、このように治療が必要な状態に進展することがあるため、悪化傾向の場合は受診をしてください。必要に応じて抗生物質が処方される場合もあります。
食事がとれないときはどうする?
一時的に食欲がおちても、水分がとれていて、おしっこの量や回数がそれほど減らなければ脱水状態ではないと判断できます。水分や母乳・ミルクがのめていれば大丈夫です。のどの痛みが強くて飲食ができない場合は痛み止めを使用したり、のどの検査を行います。
こんなときは受診を
いわゆるかぜ(上気道炎)は特に治療を行わなくても改善しますが、のどの周囲に炎症が及び重症化する場合があります。また、感染が肺へ及ぶと肺炎となるケースもあります。受診の必要性が高い状況として、
- のどの痛みが強く、飲み込みに困難を伴う(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍など)
- 動物の鳴き声のような咳(オットセイのよう、と例えられます)をしたり、苦しくて横になれない、つばも飲み込めずよだれを垂らしてしまうような状態(急性喉頭蓋炎など)
- トイレの移動や食事・着替えといった日常動作でも息切れを感じる(肺炎など)
- なかなかよくならず、悪化傾向の場合(副鼻腔炎、肺炎など)
以上があげられます。風邪でこんなに体調が悪いのは初めてだな、という場合は風邪以上の重症なサインであることが多いため医療機関へ受診をしてください。