- 1月 27, 2024
- 10月 14, 2024
乾燥肌・湿疹が治らない?塗り方の見直しを!
乾燥肌が治らないのはなぜ?
洗いすぎが原因と考えられる場合がとても多いです。石鹸やボディソープなどの泡=界面活性剤を使用することで肌を守るために必要な皮脂や角質を落としてしまい、乾燥しがちになります。特に冬場は大気の乾燥が著しいため、乾燥肌が改善しない場合は、石鹸やボディソープなどの使用を控えてみましょう。タオルなどでこすり洗いをするのも厳禁です。
泡で洗わないと不潔ではないですか?
日本人はほぼ毎日入浴やシャワーをあびる習慣があり、十分に清潔が保たれています。泡を使って洗わないと不潔だ、という思い込みを見直す必要があります。大人で言う毛髪の生える場所(頭・顔・胸部・陰部)は皮脂の分泌が盛んなので乾燥しにくいですが、肘から先や膝から下などは皮脂の分泌が乏しく乾燥しやすいです。とくにお子さんは皮脂の分泌が乏しいため、泡で洗い保湿をしないとすぐに乾燥してしまいます。また、熱すぎるお湯も皮脂を溶かしてしまうため、40度程度までの温度設定が望ましいと考えられています。また、長時間の入浴は好ましくありませんので、10分以内に留めましょう。
外用薬はどうやって使用すればよいですか?
お風呂上がりと朝の着替え時に、1日2回は使用することをおすすめします。手や足など、物を触れたり衣類で保湿剤が落ちてしまう場所はこまめに保湿剤を使用することが必要です。保湿剤は擦り込んで塗るのではなく、肌に薄い膜がはっているように塗り拡げるイメージで塗布することが大切です。皮膚には細かい凹凸があるため、刷り込んでしまうと凸部分にクスリがのっていない状態となります。あとから触ってすこしベタつくくらい、ティッシュが張り付いておちないくらいが適切と言えます。広範囲に塗る場合は1箇所から塗り拡げるのではなく、何箇所かに薬をつけてから全体に塗り拡げてください。
(環境再生保全機構HPより転載)
外用薬はどの程度使用すればよいですか?
必要量は体型によりますが、処方薬である「ヒルドイドソフト軟膏」を使用した場合、毎日2回全身に使用したとして1-2歳で1週間に100g、3-5歳で120g、6-10歳で170gが必要となります。チューブタイプの容器であれば、大人の指先1関節分(1FTU)で約0.5g、これは大人の手のひら2枚分の塗布量に相当します。外用薬の使用量については株式会社マルホのwebサイトが参考になります。処方薬で補うには大量に要するため、市販の保湿剤を使用することをおすすめします。
(マルホHPより転載)
かゆみが強く傷や湿疹になっています。
かきくずしてしまった場合や湿疹に対しては、ステロイド外用薬を使用します。使用方法は保湿剤同様ですが、部位によって薬の種類や塗る回数が変わりますので医師に相談してください。痒みが強い場合は、「かゆい→かく→悪化→かゆい」のサイクルを断つ必要があり、飲み薬も併用してかゆみをおさえることもあります。かゆみの原因が乾燥であれば洗いすぎの見直しが必要ですし、市販薬や外用薬が原因と考えられればこれらの使用を中止する必要があります。保湿に加えて、あとを残さずきれいに治すために紫外線予防を通年で行う必要があります。また、特徴的な分布や発疹がある場合はダニや疥癬などの感染症やアトピー性皮膚炎なども疑われるため、医療機関でご相談ください。
プロアクティブ療法とは?
漫然とステロイド外用薬を使用していると皮膚が薄くなったり赤くなったり副作用が問題となります。短期的にしっかりステロイド外用薬を使用し、徐々に塗る回数を減らすことでステロイド中止にこぎつける可能性が高くなる使用方法がプロアクティブ療法です。皮膚の調子の悪いときだけステロイドを使用し、少しよくなってきたら外用をやめてしまう方が多く、治らない主な原因といえます。以下に一例を記載します。実際に使用する外用薬や使用回数、期間は皮膚の状態や部位によって異なるため医師と相談してください。
手荒れが治りません。
水や洗剤への接触を限界まで減らすことが重要です。また、手はもっとも使用する部位のため薬が触ったものに付着して簡単にとれてしまいます。そのため、保湿剤やステロイド剤を使用した後に、綿または絹手袋を着用してください。水を触るときはその上から使い捨てゴム手袋や水洗い用のゴム手袋を着用します。洗い物や濡れた洗濯物を素手で触らないように注意してください。意外に思われるとおもいますが、入浴やシャンプーについても同様に対処します。手袋内にお湯が入らないように、ゴム手袋の上から手首部分をゴムなどで縛るとよいでしょう。いつ手を洗うのか?については「洗わなくていい」という回答をする医師もいるほどです。入浴後にぬるま湯で手をあらい、塗り薬やステロイドを塗ってまた手袋を着用します。ステロイドの上から亜鉛華軟膏を塗布すると効果が高まる場合があります。亜鉛華軟膏は洗ってもおちにくい外用薬ですが、オリーブオイルやベビーオイルをなじませてから泡で洗い落とすときれいにおとせます。ただし、皮膚状態が悪いのが前提ですので、洗い過ぎには注意です。そのままあらわずに重ね塗りしても問題ありません。
皮膚が荒れているとアレルギーの原因になるって本当?
近年、荒れた皮膚から様々な異物が体内に侵入することでアレルギーの原因になるという「経皮感作(けいひかんさ)」という考え方が乳幼児期のアレルギー形成の仕組みとして注目を浴びるようになりました。一方で口から食べたものはアレルギーの原因と体に認識されない「経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)」という考え方も同様に注目を浴びています。皮膚の湿疹とアレルギー疾患は密接な関係があると考えられるようになりました。皮膚を良い状態に保つことで、特に乳児などの小さなお子さんの場合はアレルギー疾患発症の予防につながると考えられています。アレルギー症状でお困りの方で、皮膚の状態が良くない方は保湿や必要に応じてステロイド治療もご検討ください。
こんな時は受診を
市販の保湿剤を使用し、洗い過ぎの見直しを行っても肌の改善が認められない場合は医療機関へ相談してください。塗ってもよくならない場合に考えられる原因として、最も多いのが「正しく塗れていない」があげられます。上記を参考に外用方法を見直してみてください。また、アトピー性皮膚炎などでは保湿だけでは不十分なこともあり、適切なステロイド外用薬などの使用が必要なこともあります。大人も子供も日頃のスキンケアを見直してみてください。