皮膚科のご案内
わかばファミリークリニック(千葉市若葉区)は、内科・小児科・婦人科を併設する総合クリニックです。皮膚症状の背景にある全身状態や基礎疾患も考慮しながら、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く診療しています。
女性のデリケートゾーンのトラブルなど、「皮膚科と婦人科のどちらに相談すべきかわからない」といったお悩みにも対応可能です。必要に応じて専門医療機関へのスムーズな紹介も行っておりますので、安心してご相談ください。
「かかりつけ医」として、健康な毎日をお送りいただけるよう全力でサポートいたします。
当院の皮膚科診療の特徴
- 皮膚疾患の原因を全身的に評価
- 赤ちゃんから大人まで幅広く診療
- 女性の皮膚トラブルにも婦人科医が対応
- 顕微鏡検査・アレルギー検査・ダーモスコピーによる適切な評価と診断
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、慢性的にかゆみと湿疹を繰り返すアレルギー性の皮膚疾患です。乳児期から発症することが多いものの、成人してから症状が続く方や再発する方も珍しくありません。皮膚の「バリア機能の低下」と「アレルギー反応の過剰」が主な原因と考えられています。遺伝的な体質に加えて、ハウスダスト・ダニ・花粉・ストレス・汗などの刺激が症状を悪化させることがあります。
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、「炎症をしっかり抑えること」と「皮膚のバリア機能を回復させること」です。急性期にはステロイド外用薬や免疫抑制外用薬(タクロリムスなど)を使用して炎症をコントロールし、症状が落ち着いたら保湿剤で皮膚を守ります。特に保湿は毎日のスキンケアの中心であり、入浴後5分以内に保湿剤をたっぷり塗ることが推奨されます。石けんやボディソープの使いすぎ、ナイロンタオルでの擦り洗いはかえって悪化の原因になるため注意が必要です。
近年注目されているのが「プロアクティブ療法」です。これは、症状が落ち着いた後もすぐに薬をやめず、徐々に漸減し、週1〜2回ステロイド外用薬などを塗り続けることで再発を防ぐ治療法です。これまでの「悪くなったら塗る」治療では、炎症を完全に抑えきれずに再燃を繰り返すケースが多くみられました。プロアクティブ療法は、皮膚に潜んでいるわずかな炎症を抑えながら健康な皮膚を維持できる方法であり、国内外のガイドラインでも推奨されています。正しいスキンケアとこの方法を組み合わせることで、かゆみのない期間を長く保ち、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
それでも症状のコントロールが難しい場合には、外用薬以外の治療が検討されます。その代表が「デュピクセント(デュピルマブ)注射」です。これはアレルギー反応に関わるIL-4とIL-13という物質の働きを抑える抗体医薬で、アトピー性皮膚炎の原因そのものに作用する画期的な治療薬です。2週間に1回の皮下注射で、皮膚の炎症やかゆみを大幅に改善し、夜間の睡眠障害や仕事・学業への影響を軽減する効果も報告されています。ステロイド外用薬や内服薬が効かない中等症〜重症の患者さんに保険適用で使用できます。副作用は比較的少なく、軽度の結膜炎や注射部位の赤みなどが中心です。当院では患者様の全身状態を確認しながら、安全性を重視した投与スケジュールを提案しています。
デュピクセント注射は初回およびその後の1ヶ月の治療費が3割負担でも約35,000円と大変高額です。子ども医療費助成制度では自己負担額の範囲(千葉市の場合、0~300円)で治療ができるため、子ども医療費助成制度が利用できる間に治療を開始しておくことを強くおすすめしています。
アトピー性皮膚炎は、薬だけで完治する病気ではありません。スキンケア、環境整備、ストレス対策、食事・睡眠といった生活全般の調整が欠かせません。当院では患者様一人ひとりの生活スタイルに合わせ、治療だけでなく「再発しにくい肌づくり」をサポートしています。長年の悩みを抱えている方も、まずはご相談ください。新しい治療法と適切なケアで、かゆみのない快適な日常を取り戻すことができます。
じんましん(蕁麻疹)
じんましんは、突然皮膚に赤く盛り上がった発疹(膨疹)が現れ、強いかゆみを伴う疾患です。数時間以内に消えたり、別の場所に出たりするのが特徴です。多くは数日から1週間以内に治る急性型ですが、6週間以上続く「慢性じんましん」もあります。原因は食物・薬・感染症・ストレスなどさまざまですが、明確に特定できない場合も少なくありません。
じんましんの症状は、皮膚の「ヒスタミン」という物質が放出されることで起こります。そのため治療の中心は抗ヒスタミン薬の内服です。症状の強さや持続時間に応じて、1日1〜2回の内服を継続します。急性型では数日で改善することが多く、慢性型でも継続的な服薬でコントロールが可能です。内服薬でコントロールが効かない場合は、アトピー治療薬としても用いられるデュピクセント注射も利用可能です。
発症のきっかけとして、寝不足、過労、ストレス、飲酒、体の冷えや温まり(入浴・運動・発汗など)なども関係します。食物アレルギーが疑われる場合には、採血によるアレルギー検査を行い、原因を特定します。
また、血管性浮腫と呼ばれる唇やまぶたの腫れ、喉の違和感などを伴う場合には注意が必要で、まれに呼吸困難を伴う重症アレルギー反応(アナフィラキシー)に進行することもあります。
じんましんは多くが一過性ですが、繰り返す場合は「体質」「生活リズム」「ストレス」といった背景の改善も重要です。当院では症状の強さだけでなく生活状況も考慮し、必要に応じて専門的な治療へつなげます。
にきび(尋常性痤瘡)
にきびは、思春期から成人まで幅広い年代にみられる毛穴(皮脂腺)の炎症性疾患です。皮脂の分泌が活発になり、毛穴の出口が角質でふさがれると、毛穴の中に皮脂がたまり、アクネ菌が繁殖して炎症を起こします。額や頬、顎などにできやすく、赤みや痛みを伴うこともあります。ホルモンバランス、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなどが悪化因子となります。
治療の基本は「毛穴のつまりを取る」「炎症を抑える」「皮脂分泌をコントロールする」の3点です。外用薬では、アダパレン(ディフェリン®)や過酸化ベンゾイル(ベピオ®、デュアック®など)が中心で、炎症を起こしている場合は抗菌薬の外用を併用します。これらは数週間から数か月かけて徐々に効果を発揮します。
炎症が強い場合や、背中・胸など広範囲に及ぶ場合は、抗菌薬の内服を行うこともあります。女性では、ホルモンバランスの影響が大きいことがあり、低用量ピル(自費)の使用が有効な場合もあります。当院では、希望に応じてアゼライン酸(自費)やイソトレチノイン内服(自費)といった選択肢もご提案しています。
にきびは治った後に「赤み(炎症後紅斑)」や「色素沈着」、「クレーター状の瘢痕」が残ることがあります。これらの治療は困難ですが、早期治療で予防できるため、「まだ軽いから」と放置せず、早めの受診がおすすめです。当院では、皮膚の状態と生活習慣を総合的に評価し、再発を防ぐためのスキンケア指導も行っています。
湿疹・かぶれ(接触皮膚炎)
湿疹・かぶれは、皮膚が化学物質や金属、植物、化粧品などの外的刺激に反応して炎症を起こす疾患です。症状としては、赤み、かゆみ、水ぶくれ、皮むけなどが見られます。原因が明らかな「刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー反応による「アレルギー性接触皮膚炎」に分類されます。
金属アレルギー(ピアス・時計・ベルトの金具など)、ヘアカラー剤、化粧品、洗剤、ゴム手袋、植物(ウルシなど)が代表的な原因です。
治療の第一歩は「原因の除去」です。原因がわからない場合には、顕微鏡でのカビ検査(真菌検査)を行い、皮膚カンジダや白癬との鑑別も行います。急性期の炎症にはステロイド外用薬を使用し、かゆみを強く感じる場合には抗ヒスタミン薬の内服を併用します。
慢性化して皮膚が厚くなった場合には、保湿と刺激回避を徹底し、皮膚のバリア機能を整えることが重要です。
特に注意すべきは「手湿疹」です。石けん・アルコール消毒・水仕事の繰り返しで皮脂が失われ、乾燥と亀裂を起こします。手袋を二重に着用する、保湿剤を頻回に塗るなど、生活の中でのケアが欠かせません。
当院では、原因の特定から治療、再発予防まで一貫してサポートしています。「かぶれだと思っていたらカビだった」「薬のかぶれが悪化していた」などのケースも少なくありません。自己判断せず、皮膚科専門の診察を受けることで早期回復が期待できます。
水いぼ(伝染性軟属腫)
水いぼは「伝染性軟属腫ウイルス」によって起こる皮膚の感染症で、主に3〜10歳前後の子どもに多く見られます。皮膚の表面に、光沢のある小さな丸いできものが多数現れ、中央が少しへこんで見えるのが特徴です。痛みやかゆみはあまりなく、放っておいても1〜2年のうちに自然に治ることが多い病気です。
感染は、皮膚と皮膚の接触や、タオル・プールの浮き輪などを介して起こることがあります。兄弟間や園児同士でうつることもありますが、感染力は比較的弱いため、過度な心配は不要です。
ただし、掻き壊してしまうと周囲に広がることがあるため、かゆみや乾燥が強い場合には保湿や抗ヒスタミン薬を使用して、皮膚を守ることが大切です。
治療の基本は「経過観察」です。自然に免疫がついて治るまで待つのが原則ですが、幼稚園や保育園で治療を求められることがあります。その場合、少数であれば液体窒素による凍結療法や、ピンセットでの摘除を行うこともあります。しかし、処置は痛みを伴い、小さなお子さんでは強い恐怖体験になることもあります。
当院では「無理な処置はしない」方針で、お子さんの年齢や性格、数、部位などを考慮して最適な対応を選びます。時間はかかりますが、自然治癒を待ちながらスキンケアを続けるだけでも十分改善します。
とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひは、細菌(主に黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌)が皮膚に感染して起こる病気です。虫刺されや湿疹などを掻き壊した傷口から菌が入り込み、水ぶくれやかさぶたができ、次第に広がっていきます。特に子どもでは、手で触ったり引っ掻いたりすることで、あっという間に顔や手足に広がることがあります。「とびひ」という名前は、まさに“飛び火”のように感染が拡大する様子からつけられています。
症状は、水ぶくれができる「水疱性膿痂疹」と、かさぶたが厚くつく「痂皮性膿痂疹」に分けられます。軽症であれば抗菌薬の塗り薬で治療しますが、広範囲や発熱を伴う場合には抗菌薬の内服が必要です。炎症が強いと痛みを伴い、耳下リンパ節が腫れることもあります。
登園・登校については、感染拡大を防ぐために制限が必要となる場合があります。特に顔や手など露出部に病変があるときは、かさぶたが乾くまで外出を控えた方が安全です。また、キズパワーパッドなどの使用で細菌が繁殖し悪化するため、感染が疑われる怪我や湿疹では注意が必要です。
また、近年は耐性菌(効きにくい細菌)による症例も増えており、自己判断で市販の抗菌薬を塗ることは避けてください。治療中は爪を短く切り、入浴時には石けんをよく泡立てて優しく洗い、清潔を保つことが大切です。早めの受診と適切な治療で、痕を残さず治すことができます。
水虫・爪白癬
水虫は、白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の角質層に感染して起こる病気です。足の指の間がかゆくなったり、皮がむけたり、水ぶくれができたりします。爪に感染すると「爪白癬」となり、爪が白く濁ったり厚くなったりして、自然には治りません。男女を問わず中高年に多く、家族内感染が起こることもあります。
見た目だけでは、湿疹や汗疱性湿疹との区別がつきにくいため、正確な診断のために「顕微鏡検査(真菌検査)」を行います。皮膚や爪を少量削り取り、顕微鏡でカビの有無を確認します。検査自体は痛みを伴わず、数分で結果がわかります。
治療は「外用薬」または「内服薬」を使います。足の水虫であれば、抗真菌薬の塗り薬(ラミシール®、ルリコン®など)を1日1回、3か月ほど根気よく続けることが重要です。かゆみがなくなっても菌が残っていることが多く、途中でやめると再発します。
爪白癬では、爪の中まで薬が届かないため、内服薬(ラミシール®)を6か月間服用する治療が基本です。肝機能への影響を確認するため、定期的な血液検査を行います。近年では、塗るタイプの爪専用抗真菌薬も登場しており、小範囲の軽症例ではこの外用治療のみで改善することもあります。
また、靴や靴下の湿気、共有スリッパ、足拭きマットなども感染源になります。治療と並行して、清潔・乾燥を心がけ、家族の感染予防も大切です。当院では生活指導も含めてサポートし、再発を防ぐためのケアを丁寧にお伝えしています。
帯状疱疹・単純疱疹
帯状疱疹と単純疱疹は、どちらも「ヘルペスウイルス」によって起こる皮膚の感染症です。単純疱疹は主に口唇や陰部などに再発を繰り返すタイプで、帯状疱疹は水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化することで発症します。これらのウイルスは、一度感染すると神経に潜伏し、疲労やストレス、加齢、免疫低下などをきっかけに再燃します。
帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした痛みが先に出て、数日後に赤い発疹や水ぶくれが帯のように現れます。顔面・胸部・背中・腹部などに多く、痛みが強いのが特徴です。発疹が治っても神経の炎症が残ると「帯状疱疹後神経痛(PHN)」となり、長期間痛みが続くことがあります。これを防ぐためには、発症から72時間以内の抗ウイルス薬投与が非常に重要です。早期治療で痛みの軽減・合併症予防が期待できます。
一方、単純疱疹は唇や鼻の周り、陰部などに小さな水ぶくれが繰り返し出るのが特徴です。再発のたびに抗ウイルス薬の塗り薬や内服を行い、早めの対応で症状を短く抑えることができます。
帯状疱疹は予防接種(ワクチン)が可能です。50歳以上の方では発症率が高く、重症化や神経痛予防のために、不活化ワクチン(シングリックス®)が推奨されています。2回接種で長期的な予防効果が得られます。
当院では発症初期の治療からワクチン接種まで幅広く対応し、痛みの強い方には神経痛を防ぐための補助療法もご案内しています。
帯状疱疹ワクチンの詳細はこちら
イボ(尋常性疣贅)
イボ(尋常性疣贅)は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が皮膚の小さな傷から感染して起こる良性の皮膚腫瘍です。手の指や足の裏、膝など、擦れやすい場所にできやすく、硬く盛り上がった小さな粒として現れます。特に足の裏のイボは、皮膚が厚くなるためタコと間違われることもあります。
感染力はそれほど強くありませんが、家族内やプール・床などを介してうつることがあります。掻き壊したり、削ったりするとウイルスが広がるため、自己処理は避けましょう。 治療は「液体窒素による凍結療法」が基本です。約1〜2週間おきに通院し、患部をマイナス196℃で一瞬凍らせてウイルス感染細胞を壊します。1回あたりの治療時間は数十秒程度で、少し痛みを伴いますが、子どもでも多くは我慢できる程度です。
イボは免疫の力で最終的に自然治癒しますが、完全に消えるまでには10回以上の治療を要することもあります。特に足の裏のイボは皮膚が厚く、治りにくいため、治療前にサリチル酸ワセリンで皮膚をやわらかくし、家庭で削っていただくなどの工夫が有効です。
まれに「扁平疣贅」「尖圭コンジローマ」「老人性イボ」など、別のタイプのものと区別が必要な場合があります。当院ではダーモスコピー(拡大鏡)で観察し、必要に応じて顕微鏡検査を行い、最も適した治療法をご案内しています。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、皮脂分泌の多い部位(頭皮・顔・胸など)に起こる赤みとかゆみを伴う炎症性疾患です。鼻のまわり、眉間、耳の周囲、頭皮にフケのような白いかさつきが見られるのが特徴で、季節の変わり目やストレス、睡眠不足などで悪化します。
原因としては、皮脂を栄養源とするマラセチア菌(常在真菌)の増殖や、皮膚のバリア機能低下が関係しています。
治療は、まず皮脂の過剰分泌と炎症を抑えることです。頭皮ではステロイドや抗真菌成分を含むシャンプー、顔面では抗真菌外用薬やステロイド外用薬を使用します。症状が軽快しても、再発しやすいため、皮膚の状態を見ながら週に数回の塗布を続ける「維持療法」が有効です。
洗顔や洗髪のしすぎはかえって皮膚を刺激し、乾燥を招くため注意が必要です。
また、食生活(糖質・脂質の過剰摂取)や睡眠不足・喫煙や飲酒も悪化要因となるため、生活習慣の見直しも大切です。
脂漏性皮膚炎は「フケ症」と混同されがちですが、炎症性疾患であり、放置すると慢性化します。当院では、再発を防ぐために保湿ケアやストレス管理まで含めたアドバイスを行っています。
「毎日洗っているのに治らない」「市販のシャンプーで改善しない」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
粉瘤(アテローム)
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。袋の内側には角質や皮脂がたまり、次第に膨らんでグニグニとしたしこりになります。顔・首・背中・耳のうしろ・わき・お尻など、全身どこにでもできる可能性があります。多くは良性で、がん化することはまれです。
粉瘤は自然に消えることはありません。中身を押し出しても袋の壁(被膜)が残るため、再発します。また、炎症を起こすと赤く腫れて痛みが出たり、膿がたまって破裂したりします。この状態を「炎症性粉瘤」と呼び、強い痛みや発熱を伴うこともあります。炎症がある時は切開して膿を出す応急処置(排膿)を行い、炎症が落ち着いた後に根治的な摘出術を検討します。
根治術は、袋ごと取り除く「くり抜き法」などを行います。小さな粉瘤であれば局所麻酔下で短時間に行え、抜糸も1週間ほどで可能です。
当院でも手術は可能ですが、時間を要するため初診での処置は事前にご相談ください。深部や大型の粉瘤、顔などの整容面が特に重視される場所では形成外科での治療をおすすめしています。
やけど(熱傷)
やけど(熱傷)は、熱湯・油・アイロン・ストーブなどによって皮膚の組織が損傷する状態を指します。皮膚の損傷の深さにより、Ⅰ度(表皮のみ:赤みと痛み)、Ⅱ度(真皮まで:水ぶくれ)、Ⅲ度(全層損傷:白色や黒色で感覚が鈍い)に分類されます。
小さなやけどでも放置すると感染や色素沈着を起こしやすく、早期の対応が治りを左右します。
応急処置として最も重要なのは「すぐに冷やすこと」です。流水で15〜20分ほど、服の上からでも構いません。氷を直接当てるのは凍傷の原因になるため避けましょう。その後、患部を清潔に保ち、広範囲の場合や顔・関節部など機能や整容に関わる部位のやけどは、必ず医療機関を受診してください。また、熱傷の深さはすぐには判断できないので、受傷の翌日の評価が重要となります。
治療は、やけどの深さに応じて外用薬や被覆材を使用します。浅いⅡ度熱傷までは、ワセリンなどで保湿し、自然治癒を促します。痛みが強い場合は鎮痛薬を併用します。深いやけど(Ⅲ度)や広範囲の場合は、感染防止や植皮手術が必要となることもあります。
当院では、初期対応から創傷管理までを丁寧に行い、瘢痕(あと)が残りにくいよう治療方針を立てています。創傷被覆材などは処方ができないため、紹介する類似品をドラッグストアやオンラインショップでお買い求めください。
また、近年は低温やけど(電気カーペット・湯たんぽなど)も増えています。自覚症状が軽くても深部まで損傷していることがあるため注意が必要です。やけどは「軽く見えても重い」ことがあるため、迷ったらまずご相談ください。
虫刺され(刺虫症)
虫刺されは、蚊・ブヨ・ダニ・ノミ・ハチ・毛虫などによる皮膚の炎症反応です。刺された直後に赤み・かゆみ・腫れ・痛みが出るほか、強いアレルギー反応を起こすこともあります。特にお子さんでは「ストロフルス」と呼ばれる大きな腫れや水ぶくれが生じやすく、掻き壊すことでとびひに進展することもあります。
治療の中心は、ステロイド外用薬で炎症を抑え、抗ヒスタミン薬でかゆみをコントロールすることです。腫れが強い場合は冷却も効果的です。ハチ刺されなど、全身のじんましんや呼吸困難を伴う「アナフィラキシー」を起こした場合は、ただちに救急受診が必要です。
毛虫やチャドクガによる皮膚炎では、針状の毛が皮膚に刺さって炎症を起こします。患部をこすらず、テープでそっと取り除き、石けんで洗うことが大切です。
また、ツツガムシやマダニなど、感染症を媒介する虫も存在します。屋外活動後に赤い発疹や発熱を伴う場合は、必ず医療機関で診察を受けてください。
予防としては、虫除けスプレーの使用、長袖・長ズボンの着用、帰宅後のシャワーなどが効果的です。当院では症状に応じて、かゆみを素早く抑える治療とともに、二次感染を防ぐためのスキンケア方法をお伝えしています。小さなお子さんでも安心して受診いただけます。
皮膚科に関するよくあるご質問
Q.皮膚科で行う検査にはどんなものがありますか?
症状に応じて、真菌検査(顕微鏡でカビを確認)、細菌培養検査、アレルギー検査などを行います。
また、ダーモスコピー(拡大鏡)による観察も可能で、ほとんどの検査は痛みがなく短時間で結果がわかります。皮膚症状の原因を正確に見極めることで、無駄な治療や再発を防ぐことができます。
Q.薬は飲み薬と塗り薬、どちらが効果的ですか?
病気や重症度によって異なります。軽い湿疹や乾燥肌には塗り薬が中心ですが、じんましんや帯状疱疹では飲み薬を併用します。
症状の部位・範囲・生活スタイルに合わせて最適な治療法をご案内します。
Q.薬を塗ってもよくならない場合はどうすればよいですか?
塗る量や回数、使用期間が不十分な場合もあります。まずは塗り方を確認し、それでも改善がない場合は診断や薬の変更が必要です。
皮膚疾患は見た目が似ていても原因が異なるため、早めに再診をおすすめします。
Q.子どもの皮膚疾患も診てもらえますか?
はい、乳児から中学生まで幅広く診療しています。水いぼ・とびひ・アトピー性皮膚炎など、お子さんに多い疾患にも対応しています。
お子さんが怖がらないよう配慮し、保護者の方にも丁寧に説明いたします。
お子さんの皮膚科受診は小児科をご予約ください。
Q.市販薬と病院の薬はどう違いますか?
市販薬は軽症向けに成分濃度が低く設定されています。
ステロイドの強さにも制限があるため、症状が強い場合や再発を繰り返す場合は病院での処方薬が必要です。
正確な診断により、根本的な治療と再発予防が可能になります。
Q.帯状疱疹ワクチンは何歳から受けられますか?どんな人におすすめですか?
帯状疱疹は50歳以降に多く発症します。そのため、50歳以上の方には予防接種が推奨されています。
特に免疫力が低下しやすい方、糖尿病や高血圧などの持病がある方、ストレスの多い方におすすめです。
シングリックス®ワクチンは2回接種で長期予防が可能で、帯状疱疹後神経痛のリスクを大幅に減らす効果があります。
公費助成については千葉市HPもご参照ください。
Q.皮膚科を受診するタイミングはいつですか?
かゆみや赤みが数日続く、市販薬で改善しない、症状が悪化している場合は早めの受診をお勧めします。特に発熱を伴う皮疹や急激に広がる症状、痛みの強い水ぶくれなどは迅速な診断・治療が必要です。気になる症状があれば気軽にご相談ください。
悩んでいないで、まずはご相談ください。
「たかがこれくらい・・・」と、軽くみられがちな皮膚疾患ですが、皮膚の症状は見た目や生活に影響し、不安につながることもあります。当院では赤ちゃんから大人まで幅広く診療し、安心して相談できる環境を整えています。気になる症状があれば早めにご相談ください。