ごあいさつ
当院は、「あなたと家族の健やかな生活を支え、地域社会に貢献する」ことを理念に掲げ、女性診療を含め幅広い診療に対応しています。
女性は家庭内におけるケアの担い手である場合が多く、子供の養育や親の介護などのために仕事を辞めたり、ストレスを抱えやすく、うつ病などのリスクも高いことが数多くの研究からわかっています。そのため、当院では思春期から妊娠・授乳中・更年期・老年期まで、婦人科に限らず幅広い領域にわたって、包括的なケアを提供していきます。また、お子さんや男性・高齢者のケアも、女性を取り巻く諸問題の一端ととらえ、診療を行っています。なぜなら、多くの女性にとってパートナーやご家族は切り離せない存在であり、自身の一部であるといえるからです。
私は、家庭医療専門医として研鑽を積み、産婦人科医として専門研修を修め、医師としては珍しく2つの専門医を取得しております。また、僻地・離島診療の経験もあり、訪問診療や地域での健康教室・行政との連携など、幅広い分野で医療・介護・教育に携わってきました。
当院は家庭医療専門医+産婦人科専門医による日本初のクリニックとなります。ご自身の体調やご家族に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。これまでの経験を活かし、地域医療をとおして社会貢献を続けていくことで、皆様の幸福と自身の成長につなげていきたいと思います。どうぞ、末永いお付き合いをお願い申し上げます。
略歴
- 2006年
- 東邦大学医学部卒
- 2008年
- 亀田総合病院・亀田ファミリークリニック館山
家庭医診療科
外務省巡回医師団・小笠原村診療所などにも従事 - 2012年
- 独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 産婦人科
上五島病院など離島医療機関にも従事 - 2016年
- 地方独立行政法人 さんむ医療センター
総合診療科・産婦人科 医長 - 2022年
- 医療法人社団マザー・キー ファミール産院 理事
- 2023年
- わかばファミリークリニック 開設
資格・専門医など
- 家庭医療専門医・指導医
- 産婦人科専門医・母体保護法指定医
- プライマリ・ケア認定医
- 日本専門医機構 総合診療専門研修特任指導医
- ALSOインストラクター(産科救急シミュレーション)
- HANDS-FDF(指導医養成コース)修了
- 緩和ケア研修会(PIECE)修了
- 東邦大学医学部医学科 客員講師
出版書籍
これまでの経験とクリニック開設に懸けた想い
- 【家庭医への道】包括的に人を診ることのできる医師になるために
- 大学時代、私が臨床実習を行っていた大学病院での経験が、家庭医への道を開いたきっかけでした。病院での診療は、専門医によって細分化され、患者さん一人一人の全身をまとめて診るということは困難な環境でした。細分化されるあまり、特に患者さんの生活や価値観を汲み取る診療の重要性が疎かにされているように感じました。
それは私にとって大きな問題であり、この現状を改善したいという強い願いが芽生えました。専門領域に囚われず、患者さんの心と体を一つのつながりとして捉え、その人の生活全体に寄り添う診療の重要性を感じていました。この時に「家庭医」の存在を知り、国内では草分け的な家庭医のもとを訪れたことが、私の「家庭医」への道を切り開く最初の一歩となりました。 - 【予防医療の重要性】病気を未然にふせぐ
- 家庭医の診療は私にとって理想的でした。しかし、多くの疾患が発症した後では症状を軽減させることが精一杯であり、根治したり、疾病によって生じた後遺症を治癒することは困難を極めることがわかってきました。そのような日々を送る中で、生活習慣病をはじめとした予防医療の重要性を徐々に感じるようになっていきました。また、医療機関を受診する層は高齢者が中心ですが、病気にならないような知識を身につけるには、若い世代へのアプローチが必要であることに気が付きました。特に、妊娠出産は人生における一大イベントであり、生活スタイルも大きな変化を迎えます。このような若い世代に家庭医として接し、伴走することが後年の疾病の予防に必要ではないかと考えるようになりました。
- 【女性の声にこたえる】妊娠・授乳中、産前産後のケア
- 家庭医としての診療を通して、人生の幅広い時期にかかわらせていただく中、妊娠と出産にかかわるケアは産婦人科で行われることが多く、家庭医としてあまりかかわれていないことに不全感を感じていました。若い世代を包括的にケアするために、この領域の集中的な研鑽が必要と感じ、医師としての第2のキャリアとして産婦人科医への転身を決意したのでした。産婦人科で経験する健康問題・病気はこれまでと異なり、予防よりは治療という側面が強いものでした。その中で、異常妊娠や合併症妊娠は、妊娠してからのケアは困難であり、妊娠前からのケアが重要であることを多くのケースで感じさせられるのでした。子宮頸がんなどの婦人科がんもまた、定期健診を受けていれば早期治療ができたであろうケースをたくさん経験しました。特に私の心に引っかかったのが、妊娠・授乳中の女性が風邪などの日常病で医療機関を受診しようとしても、妊娠や授乳中であることを理由に診療や処方を拒否されることが日常的であるということです。ケアの提供の平等性を欠いていると感じ、このような現状に憤りを感じるようになりました。妊娠・授乳中の薬剤の安全性の判断は産婦人科医のみの専売特許ではなく、少し勉強をすれば診療科にかかわらずどの分野の医師でも可能なのです。このような背景もあり、学会や執筆などを通して、妊娠・授乳中のケアや薬剤の安全性に関する講演を数多くさせていただく機会を得てきました。
- 【地域とともに】女性に強い家庭医の実践と後進の指導
- 産婦人科では、男性や子供、お年寄りなどのケアに関与する機会が少ないため、私は家庭医・産婦人科医としてのキャリアを両立させる目的で、千葉県の地方病院で総合診療科と産婦人科を兼務することを選びました。地方病院が共通して抱える内科医・産婦人科医の不足という課題の中で、これまでのキャリアを活かし、非常に充実した診療を提供できる環境が整っていました。
チャンスに恵まれ、若手家庭医・総合診療医が短期研修に訪れる中で、指導を通じて彼らが女性診療を学ぶ環境に恵まれていないという実態に直面しました。この現状では、妊娠や授乳中の処方が困難な医師になってしまうことが避けられず、医学生時代からの教育体制にも課題があると気付かされました。
さらに、産前産後における問題は、医学的な問題だけではなく、病院での継続的なケアが難しいという問題も抱えていました。女性がパートナーを見つけ、妊娠、出産、育児を進める過程において、関与する医療従事者が次々と変わるため、一貫してケアを管理するかかりつけ医が不在であると感じることとなりました。 - 【あなたと共に】健康のパートナーとして
- 医師としての今後のキャリアを考えた際、予防医療と女性診療を中心にその家族の支援も行いたいという想いがあります。さらに、後進の家庭医・総合診療医が当たり前に女性診療および予防医療を実践できるような環境づくりも重視しています。この想いを両立できるのではないかと考え、当院の開設を決意しました。複数の専門医だけによる診療では、見落とされる問題があることが少なくありません。全体を俯瞰する立場の医師が不在になると、設計士や現場監督がいない工事現場・建設現場のような状況が生じることがあります。海外の研究から、家庭医がケアに関与することで診療の質が向上するという報告が数多くされています。当院では私を含めた家庭医が皆様のケアに関与し、地域での家庭医によるケアの総量を増やす役割を果たします。さらに、当院で成長した若手医師が全国へと展開することで、皆様に鍛えていただいた医師たちが日本の医療の質を一層高めることにつながります。